ガララ!!


安西先生ー!!僕の弁当に爆薬仕込んだのセンセでしょ?!どうしてくれるんですか!見ろこの弁当大惨事をー!!」
「そんな事言われましても、目が見えないので見えません」
「もっとマシな言い訳…え?なんですかその包帯?!
「だから、見えないのですったら」
「ちょ…えー!?だ、大丈夫センセ?痛い?ねえ痛い?大丈夫?どうしたの?痛いの?」
「いえ…そんなに痛くありませんけれど」
「うそうそ!絶対痛いですよー!先生可哀想、大丈夫?ね、なんで怪我したの?もしかして病気?痛くない?」
「別にどうでも良いでしょう?放っておいて下さいな」
「言えないような病気なんですかー?!」
「あー煩いですね!!薬品が飛んだのですよ解りましたか?!」
「薬品?!なに飛んだの大丈夫なの治るのいつ治るのねえ痛くない安西先生?」
「煩いと言っているのが解らないのですか!!」
うわぁーんセンセが失明するー!!
「なっ…何を泣いているんですか?…やれやれ…失明しませんよ。だから泣きやみなさい?」
「ふぇ…ホント?」
「ええそうですよ……ああもう、どっと疲れが出てしまいました…」
「ね、いつ治るの?」
「懲りませんねぇ君も…」
「いつ?」
「無理をしなければ一週間程」
「痛い?」
「光を見なければ平気ですよ」
「よかったー!もう最初っからそう言ってくれればいいのに、びっくりしちゃいましたよぅ」
「はいはい…もう大人しく静かにしていて下さいな。私はトイレに行ってきますので……(ドガツ!!)ぐっ!?」
「だ!大丈夫安西先生!?今思いっきり壁にぶつかったよ?!」
「く…少し気配というものが分からなくなっていますねえ……全く、厄介な薬品を被ったものですよ…」
「な、なにを被ったんですか…」
「君に言っても解らないでしょう?…ああもう、歩くのがこんなに面倒だとは……ん?私は今どちらを向いているのでしたっけ?」
「あははー!!センセなんか可愛いー♪僕お世話したげますよう!」
「ウザいんで止めて下さい、余計な事はしないで下さいな」
そんな!?
「ちっ…猿の蚤とり本能ですか…これだから世話好きな人間は鬱陶しいのですよねえ?一人で平気ですよ」
「先生それドアじゃないよ、窓だよ」
「…」
「ほらもうやっぱり一人じゃ無理ですよー。看護したげますってば♪」
「要りませんよ。君にして貰う位なら学校長に…」
「校長センセは三日前から出張に行ったじゃん」
「…」
「ね?」
「くっ…この、この目が見えなくなりさえしなければ…高屋敷君の手など借りずに済んだものを…!」
「僕ってそんなに信用ないの…?」
「信用?はっ!君が看護を出来るかどうかなどどうでも良いのですよ。ただただ偏に、高屋敷君などの手を借りねばならない事に耐え難い屈辱を感じているのです」
「わー…泣いてもいいかな?」
「君は私のペット、玩具です。そんな下位の存在に手を引かれて目的地まで導かれるなど……ああ、ああ、死んだ方がマシというものですよ!!」
「…嫌いなんだ、僕の事」
「少なくとも、今この瞬間は殺してやりたい程に」
「……ぐすっ…」
「おや、泣いたのですか?よしよし…抱っこしてあげますからこっちにいらっしゃい?」
わーん!!虐めたいのか可愛がりたいのかどっちかにしてくださいぃー!!」
「泣いている君は好きですよ?」
「…ああ、そう…」
「ですが、調子に乗っている君は嫌いです」
「ひっく…調子こいてるっていうか…僕はセンセのお世話したかっただけで…」
「それが調子に乗ってるんですよ」
「うえぇー…いいじゃんペットに案内されてもー……ぐすっ…盲導犬とかいるじゃんかー」
「高屋敷君に盲導犬並の知能があるとでも?」
わあーん!!
「はいはい分かりましたよ…では高屋敷君、私の携帯を取ってくれませんか?」
「ふえ?…あ、んと……はい」
「今から言う番号に掛けて下さいな。090-………」
「あう。ちょ、ちょっとまって!んっと、んっとー…」
「ふう…やれやれ、やっぱり役立たずな子ですねえ〜」
「だってだって人の携帯使い方わかんないもん!!…はい、かけたですよ」
「ん、ありがとう御座います。寄こして下さいな」
「うん。こっちが話す方ですよー」
「こうですか?」
「逆さまですよう」
「ああ、こうですか。………もしもし、会長君ですか?少し手を借りたいのですが、今、手は空いています?」
「う゛。…そりゃ生徒会長よりは役立たないけどさ、僕だってトイレ連れてくくらいできるのにさ…」
「……はい、ええ…急がなくても良いですよ。…では(ピ)
「む゛ー…」
「高屋敷君たら、むくれないで下さいな…君は十分役に立ちましたよ?」
「さっき立たないって言ったですもん」
「やれやれ。困った子ですねぇ…」


(コンコン…ガララ)


『お待たせして申し訳ありません、安西先生』
「おや、早かったですねえ」
「会長ー!安西先生酷いんですよ?僕じゃトイレも連れてけないって言うんですよー!?」
『うーん…たぶん、それだけじゃないからじゃないかな?』
「…ほえ?」
「さてと…では行きましょうか。膝、降りて下さいね高屋敷君」
『はい、安西先生。…御手を』
「どうぞ。右で良いですか?」
『はい、安西先生。これ以上の怪我の無いよう、十分気を付けてご案内します』
「(まあ…この異常な敬愛心は僕じゃ無理だよね)」
「君はリードが上手ですねえ会長君?」
「はい、お褒めの言葉ありがとう御座います安西先生。舞踏は昔から学んでいましたもので」
「…ああ、高屋敷君。お菓子は戸棚に入っていますから、好きに食べて下さいね。……では」


(ガララ…ピシャン)





―――――――――――――――






「ふああー…っと。安西センセ達遅いなあ?トイレにどんだけ時間かかってんだろ」


(…ガララ)


「ただいま帰りましたよ、高屋敷君」
『ただいま、高屋敷君』
「あ、おかえんなさーい。遅かったです…ね……?…うっぎゃあああああああ!!?
「ん?」
『どうかしたかい?』
「どうもこうもなんで二人とも血塗れなのさー!?いやあこっち来ないでよー!!」
『あれ、さっき言わなかったかな。トイレに行きついでに生徒を287人殺してきたんだよ』
「なにしてんだよ?!」
「いやあーやっぱり会長君は頼りになりますねえ。殺しの補佐は君に限りますよ」
『はい、お褒めの言葉ありがとう御座います、安西先生。これからも先生方のサポートに全力を尽くします。総ては我が【私立挫賂眼学院高等学校】の為に』
「あーん!!もうやだよこんな学校ー!!」
『高屋敷君、君も頑張れば安西先生の補佐、出来ると思うよ。教えてあげようか?』
ぜっったいイヤ!!

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