「…あーあ…お正月番組も飽きちゃいましたね、安西先生ー」
「ん…それはそうですが、どうして君は学校に来ているのです?親戚回りはどうしたのですか」
「僕んちの親戚、殆ど本州に居るんだもん。北海道に居るのは母さんの方のおばあちゃんだけですもん、家隣にあるし」
「へえ…」
「だから親戚回りは無いんですよう、本州まで行くのめんどいもん。お年玉だけ郵送してもらうんですよう」
「何と言うか、冷たい親戚関係ですねえ」
「ほっといてよー。うちはずっとこんなんでやってたんですから」
「現代社会など、こんなものなのでしょうね…」
「あれ?そういえばセンセは実家帰んないの?」
「帰りましたよ、一日だけですが」
「そうなの?楽しかった?」
「楽しいというか…まあ、ゆっくりのんびり出来ましたね」
「よかったですねー」
「ええ…」
「…退屈ですねー…」
「私は仕事をしているのですよ。ちっとも退屈ではありませんね」
「う゛ー…」
「こらこら、そんなことをしたらベットから落っこちますよ?」
「んー…だってさ、今年さ、雪も積もってないからさ、カマクラ作って遊べないしさ」
「仕方の無い子ですねえ…カルタでもして遊びましょうか?」
「えー?二人でやってもつまんないですよう」
「良いではありませんか、ひらがなのお勉強になりますよ」
僕もう高校生!!
「じゃあこっちのカルタにしましょうか…実家に帰ったとき持って来たのです」
「?なんか違うのー?」
「こっちは取り札に拷問器具の絵が描いてあるんです。で、読み札には拷問器具の名称が書いているので、それを聞いて取る…と」
誰が作ったんですかそれは?!なんの目的で作ったんですかそれは?!正月っから不謹慎な!!」
「いやあ、私の兄は覚えが悪い子供でして、器具の名前を全然覚えられなかったのですよねえ…だから両親が心配して特別に作らせたんですよ」
「僕は先生の両親が心配だよ。どんな教育方針なの」
「代々こんな感じですよ」
「…」
「カルタは嫌ですか…では、何をして遊びましょうか?」
「んっとー…お正月だからあー……凧揚げ?」
「ああ、お正月らしいですね。でも凧の用意が無いのですよねえ…」
「タコの燻製ならあるですよー」
「それを如何すれば良いのです?」
「え?えとね……食べる!!」
「そうですね、食べましょうか」
「うん!!」
「どうぞ、お茶です。喉に詰まらせないようにして下さいね」
「噛めば噛むほど味がでますよセンセー!」
「良かったですねえ…」
「うん♪」
「………あ」
「う?」
「窓」
「…あ、雪降ってる…」
「…積もると良いですね」
「……うん」














「ところで、どうしてほのぼのしているのかというと…」
「オチが思いつかなかったんですね?!」
「ご名答です」
「あうー…」

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