「安西センセー!!」
「……こ…………か屋…く……」
「聞こえませんー!!このプレゼントの山なんとかしてよー!先生どこにいるのー?!
「はいはい、今片付けますよ。…よいしょ…っと……ああ、これは何が入っているのでしょう?三十キロはありそうですが……よっと…あ、危ないですよ高屋敷君。その箱はどうもセアカゴケグモが入っているようですから」
「猛毒じゃん!!なんでそんなものが誕生日プレゼントに贈られてくんのさ?!」
「さあ、心中したいんじゃないですか?」
「僕も生死の境を彷徨う人生だけど、安西センセも相当なもんですよね…」
「彷徨ってなどいませんよ。私は君と違って強いですからねえ」
「まあともかく安西センセ、お誕生日おめでと御座います♪僕ね、今度こそはなんかプレゼントしたげますよー!なんたって去年は血とか内臓とか奪われたから」
「とても役に立つプレゼントだったのですが」
もう二度とやらねえよ!!…で?で?なに欲しいですかー?」
「んー…抱き枕が欲しいですねぇ」
「抱き枕?独り寝なんて一夜たりともしてなさそうな先生が?」
「いつからそんな下品な事を言うようになったのです」
「センセと会ってからに決まってるじゃん」
「けれど…ねえ高屋敷君、社会人が学生にお金を使わせるのはどうにも…」
「えー?でもー、そしたらなんもあげらんなくなっちゃいますよー。僕、人のお祝いするの好きなのにー!」
「ふふふ、優しくて良い子ですねえ高屋敷君?ですが、お金がかかる事だけがお祝いではありません。他の方法で祝って貰えれば私は十分ですよ」
「?」
「つまり、等身大の抱き枕になって欲しいので剥製になってくれませんか?」
「わー…誕生日プレゼントに死ねって言う人初めて見た…」
「去年も言ったではありませんか」
「去年ギリギリ死んでないもん。血と内臓抜かれただけで、強制的に生かされてたし」
「今年も血と内臓を抜きますよ、代わりに綿を詰めますが」
「やめてよ!」
「それにしても…もう二十六ですか。二十代になると時間が経つのが早くなって…」
「え?だって先生、歳とってもどうせ見た目若いまんまなんでしょ?」
「…何を言い出すのですか、先生は人間ですよ?」
「うーん?ウソ臭いけどーこれ以上追求したら僕の命が危ないから聞かないっ♪」
「お利口さんですねえ高屋敷君」
「ねーねーなんか欲しいのないのー?!僕お祝いするんですったらあー!!」
「そう言われましても…欲しいものは大抵手に入りますし、去年でネタは使ってしまいましたし…」
「苦労知らずの人生ですこと!!…って言うかなにネタって?!僕ネタであんな目にあったの!?!
「今年は何にしましょうか…やっぱり高屋敷君、抱き枕に…」
「いやだっつってんだろ!!まともな思考回路に繋ぎ直せよイカレた頭を!!
「ふふふ、本当に口の悪い子ですねぇ〜…君が言いたいのなら構いませんが、代わりに二度と年をとらない身体にしてあげますよ?」
「ヒイイ!!年はとらないけど腐敗する身体は嫌ですー!!」
「腐敗などさせるものですか。ちゃんと防腐処置を施して愛用してあげますよ☆」
「いやあやめてやめてどうして今年も僕の身体がセンセの物になるんですかあ!?」
「ああ、高屋敷君は本当に小さくて抱き心地が最高ですねえ〜…毛並みもとってもふかふかで、一生物ですね」
変態!ド変態!!マッドサイエンティスト教師!!!」
「さてと…ふざけていないで、まともに考えましょうか」
「あれ?まともに考える気あったんですか?」
「ええ、君の好意を無駄にするつもりはありませんよ。…そうだ、お菓子を作ってはもらえませんか?」
「お菓子ですかー?」
「はい、得意でしたでしょう?」
「うん…でも、ホントにそれでいいの?」
「ええ」
「だって、でも…あのプレゼントの山にいっぱい高級お菓子入ってるのに…」
「良いのですよ、君の手作りのお菓子が食べたいのですから」
「え?」
「金銭の価値など、君の愛の前には何と無意味なものでしょうか。高屋敷君、君の笑顔を見る度にこのまま時を止めてしまえたらと願わずにはいられませんよ。私の残り少ない時間ですが、それの全てを君の若さの為に譲れたらどんなに良い事か…私が醜く老い朽ち果て様とも、君が輝いてくれればそれで良いのですよ」
「…」
「どうしたのですか高屋敷君?」
「………ううー…もう二十六でいい大人なのにいつまで経ってもド変態なことばっかり言って……去年と全然変わってないじゃん………成長してよー…」
「おやおや、泣いてしまったのですか?…よしよし…ちょっと虐めすぎてしまいましたねえ……すみませんでした。もう

しませんから、泣かないで下さいな?」
「ふえ…ちゃんと大人になってくれる?」
「んー、ガキの君に言われると非常に腹が立つのですが、泣かせた手前殴る訳にもいきませんしねぇ…」
「なってくれる?」
「ええ、ええ、ちゃんとまともな返答をしてあげますよ。さあ、どんと来て下さいな」
「ひっく…じゃあ、じゃあ…プレゼント…なに欲しい?」










「高屋敷君」
どこがまともなんだよぶち殺すぞこのキチガイ野郎おーー!!!!

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