ガララバシャーン!!




「?…ああ、高屋敷君でしたか。どうしたのですそんなに乱暴にドアを開けて」
「僕の命より大事なストラップを無くしたんです!探すの手伝ってくださいー!!
「命より?…では私とならどちらが大切ですか?」
「え、そりゃあストラップですけど」
「………さて、昼寝でもしますかねぇ〜」
「あー!わー!わあー!!ごめんなさい間違えました安西先生の方!先生の方が大事ですから手伝ってくださいー!!」
「ちっ…いまさら遅いですね。ダウジング用のペンデュラムなら机に入ってますよ」
「そんなに第六感持ってないです!ねー謝りますからぁー!!」
「報酬は?」
「え?」
「世の中はギブアンドテイクですよ高屋敷君、いくら君が中流階級で貧民で私が上層階級で富豪であっても」
「物凄い勢いで失礼な事言いますね…」
「大体命より大事だなんて大した価値じゃありませんよ…今日この学校で幾つ命が落ちたと思っているのです?」
「それはうちのガッコだけですよ!命は地球より重いんですよー!!」
「はッ!平和主義者の戯言ですねぇ。そう言って愛する者の為にすら戦争へ行かないのですか?」
「うう…小林よしのりみたいな事言われた…」
「まあ、私は誰が死のうがどうだって良いですけれどねえ」
「そこまで個人主義ならいっそ羨ましいです」
「で、何処で落としたか覚えているのですか?」
「ううん、さっぱりですよ」
「可哀想な頭ですねえ…いつ落としたのです」
「わかんない。気付いたら付いてなかったですもん」
「さて、書類まとめでもやりますかねぇ」
「うああーん!待ってくださいったらぁー!!」
「お断りですよ、どうして私がそんな不毛な捜し物を手伝わなければいけないのです?」
「思い出しますから!頑張っていつどこで落としたか思い出しますから見捨てないでよー!!」
「ストラップくらいどうでも良いではありませんか。捨て置きなさい」
「えー、だって…そのストラップ…安西先生がくれたやつなんだもん♪」
「ペッ!!」
「……」
「キモいですよ高屋敷君」
「…どうしてそんなに僕のボケには厳しいんですか?なんでツッコまないの?」
「で、どんなストラップなのです?」
「(あ、話逸らした)えっとー、かっこいいんですよ!食い倒れ人形なんです」
「君のかっこいいの観念がよく解りませんが…まあ大事にしていた事は伝わりましたよ」
「大阪かっこいいなー…」
「君の関西への憧れは解かりましたから、何処に落としたのか思い出しなさい?」
「…」
「…」
「……わかりません」
「可哀相な頭ですねぇ」
ううううっさいなー!!大体イスに座りながら物は探さないですよ!なに安楽椅子探偵気取ってんですかセンセー?!早く探しに行きましょうよー!!」
「別に気取っている訳ではありませんが…本音を言うと面倒で…」
可愛い生徒が言ってるんですよ!?早くー!!
「やれやれ…解かりました、行きましょうか…」






ぴーっぱっぱぱらっぱーぱっぱっぱらっぱー♪
「スキャットマンを歌っていないで、真面目に探したらどうなんです?高屋敷君」
「チョコレート食べ歩いてる安西先生に言われたくないです」
「おや、いらないのですか?」
「いるいる!欲しい!!ください!!」
「どうぞ」
「わーありがとう御座います……あ、安西先生右腕がおっこってますよ。掃除しないと誰か踏んで転ぶかもですよ?」
「放って置きなさい。誰かが片付けますよ、美化委員あたりがねえ」
「でも…」
「血溜まりを踏まないようになさい高屋敷君?それでなくてもすぐ転ぶのですから」
「えー?僕そんなに転ばな…だばぶっ!?(バシャン!)
「手の付けられないアホですねぇ…どうして言いざま転ぶのですか」
「わあぁんヌルヌルするー!先生起こしてなばぶっ?!
「知りませんよ…一生這いつくばってなさい」
「痛いー!踏まないでくださいー!!」
「五月蝿いですよ高屋敷君」
「痛いったら!足離して…へぶっ?!ガボボ…ッ!??…ーっぷは!なにするんですか溺れ…あぶっ!?
「ああ、随分血溜まりが深いようですねぇ〜…可愛いですよ高屋敷君、君が血の池地獄で悶える姿はまるで聖母マリアの経血で蠢くイエズス・キリスト」
「あぐぅ!…っは、げほッ…ゃ…痛……やめて、痛いよっ先生…!!」
「ちっ…君が暴れるから靴が汚れたではありませんか。高屋敷君、舐めなさい」
「けほっ…うわあもう本当女王様ですね。ていうかイヤです、妙な病気持ちにはなりたくないです」
「嗚呼高屋敷君、もう靴を舐める事には抵抗を感じなくなったのですねえ。良い子ですよ全く」
「うう…先生が僕を褒める事といえば必ず服従した時…それ以外の価値が無いのかなあ僕?」
「有りませんね」
「……いっそ殺して」
「返り血で汚れるので、お断りですねえ」
「…安西先生、僕もう帰ります…ストラップは見つかんなかったけど、なんかもうどうでもいいから早く帰ってお風呂入って寝たい…」
「ああ、進路指導室の戸棚に入っていますよ」
いやアンタが隠したのかよ!!

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