ガララ



「安西センセこんにちはー」
「ああ高屋敷君。来ていきなりなんですけれど、ちょっとそこまでお使いをして来てはくれませんか?」
「はえ?いいですよー。なんですか?」
「そこの窓から右手に花壇があるでしょう?その三番目に生えている草の根っこを引き抜いてきて欲しいのです」
「それだけ?」
「ええ」
「ふーん…わかりました、行ってきますねー(カララ…)
「ああ、お行儀が悪いですよ高屋敷君、窓から出るだなんて…」
「お手伝いするんだから見逃してくださいよぅ」
「…ふふ、それもそうでしたねえ…ですが危ないですよ?この前も顔からおっこちて、ひどく泣いたじゃあありませんか」
「あぅ…」
「私が抱えて、降ろしてあげますよ。それなら君でも足を引っかけて転ばないでしょうからね?」
「そんな事しなくてもー…今回は気を付けますったら…」
「いけません。前もそう言って落ちたでしょう」
「…でも」
「念には念を…ですよ。痛いのは嫌でしょう?私だって怪我をした高屋敷君なんて可哀想で見てられませんものねぇ。

…さ、いらっしゃい?」
「心配し過ぎなのに…」
「はいはい、ふくれないふくれない…よいしょ…っと。あはは、高屋敷君は軽くて扱い易いですねぇー…」
「いやぁー!」
「!?っとと…おやおや、急に暴れだしてどうしたのです?落としてしまうところでしたよ」
「やーです!そんな物みたいに言うなら僕お手伝いしません!」
「これはこれは…申し訳ございません。不当な扱いに王子はお怒りのご様子ですねえ」
「もうしない?」
「もちろん、仰せの通りに」
「約束ですからね?……んっしょ。えと、三番目でいいんですよねー?」
「ええ、ありがとう御座います」
「?先生どうして耳栓なんかするの?」
「ん?そうですねえ…悪いものを聞かずに済むように。ですかねえ(カララ…)
「窓も閉めるの?」
「風で書類が飛んでしまいますので」
「じゃあ、僕が窓叩いたらあけてくださいね」
「ええ…叩いたら、ね」
「抜くの一個だけでいいんですか?」
「はい、どちらにせよ一つしか収穫出来ませんから」
「ふーん…じゃあ頑張ってきますね」




「…高屋敷君、面白いので黙っていたのですが…

(『三番目ー……これ、かなあ?………んっしょ…んーっ…!』)

君に抜けと言ったその草、実は……




((グギψョ∬キェエエ⊇√エ†エェфェェーЮー!!★!)『あぎゃああああああぁあぁぁぁーーー』!?!!)


……マンドラゴラだったんです。







                                …ふふっ」

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