「高屋敷君…


ああ、許して下さい、君を縛り上げるなんて乱暴を働いている事を。ですがどうしても、どうしても君に耳を塞がれず目を閉ざされず、立ち去らせずに聞いてもらいたいのです。高屋敷君、愛しています。私は君に恋をしているのです、臓腑の奥まで滾る様な恋を。この思いにはどんな机上の恋愛も辿り着けはしない。大好きです高屋敷君、ほんの少し虐めるだけで泣き出すところも、その小さな体躯も、髪の先から足の先まで残らず可愛い君に骨の髄までメロメロです。その白磁の透き通った清らなる肌、熟れて弾けた柘榴の様に赤く口付ければ白桃の甘さを持つだろう唇、そこから零れ覗くムーンストーンに似た小さな歯、陽溜まりの香る絹糸の様なけぶるカフェラテ色の髪、ああ、その百万ボルトの瞳の輝きで私を焦がすのですか?愛しい人。私は君の幸せの為になら全てを犠牲にしましょう。例えこの身が砕けようと、世界が終演へ向かっても、君だけは幸福の直中に置いてみせます。そこで私への愛を囁いてくれるだけで、私は安らかであれるのです。どうか、どうか願わくば。君の人生に幸多からん事を。高屋敷君、君は特別な人なのです、君は私に生きる意義を、希望を、情熱を与えてくれた人。君が生まれてきた事に感謝を捧げましょう。君の全てが私の全て、私の全てが君の全てなのです、ああ、もし君が望むのなら君の為に世界を手中に落としましょう、高屋敷君。笑いますか?独り善がりのこの私を。恋に狂った馬鹿な男を。笑われても構いません、たとえ滑稽でも私は、君の居場所は私の胸の中だけだと信じているのですから!!どうしてでしょう。どうして君に近づくだけでこんなにも胸が痛み、鼓動は早み、柔らかな暖かい気持ちに包まれるのでしょうか?白樺の小枝の様に華奢で滑らかな君の手に触れるだけで私は安堵できる。ですが同時にひどく冷たく悲しい、孤独も感じるのはきっと。そう、私が君を愛しているようには高屋敷君、君は私を愛してくれてはいないから。これほど己の無力を怨む事は他にはないでしょうね。ああ…君を離したくなど無いのです、地獄の果てまでも連れて行きたい。死のうが生きようが、君は私の物なのです。そう、この細くて綺麗な足も…切り落としてしまいたい、君が逃げられないように。理由なんて無粋なものは無いのですよ、ただ君を手元に置いておきたい。それだけなのです。高屋敷君、君を下さい、この私に。哀れな狂れ人の私に慈悲を持って君の全てを!引き換えに私は全てを手放します、魂も、肉も、君の手の中で暖められるなら本望です。愛する人よ、この胸の痛みを癒せるのは慰めの言葉ではありません。ただ、ただその琳瑯の唇から落ちる私への愛の呟きだけなのです」













「…安西先生」
「はい?」
「勝手にチョコを食べた事なら謝ります…だからこの新手の拷問やめてくださいよー!!
「んー…それじゃああと五時間☆」
うわああ耐えられないー!!

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