コンコン、カチャ





「高屋敷君?お腹が痛いのですって?」
「あ…安西先生…はい、朝からちょっと痛かったんですけど……さっき急に」
「ああ、生理痛ですか?」
「いい加減女顔馬鹿にすんのやめろよ!!いたわれよ少しは!!」
『あら安西先生、高屋敷君が心配で保険室までいらっしゃったの?優しいわ』
「ええ、決してもがき苦しむ高屋敷君目当てに来た訳では」
「目当てに来たんだ…」
「ところで沢津橋先生、薬は?」
『あ、それならさっき生理痛用のを…』
「あ…綾音先生まで…」
『二日目は辛いわよね、わかるわー』
「もういやあ…」
「おやおや、本当に痛いのですねえ。元気がないですよ」
「あのねーセンセ…なんで痛いのかって、たぶん安西先生のせいでストレス溜まってるから。解る…?」
「解りたくありませんね」
「やだもうこの人…嫌い。…くすんくすん」
「おやおや、悲しくなっちゃいましたか?はい泣かない泣かない、良い子ですから高屋敷君は泣かない子ですよ〜」
「っく…ひぐ…ふくん……悪い子ですもん…しくしく」
「困りました、高屋敷君が泣き止んでくれませんよ。どうしましょうかねえ」
「くすん、くしゅん…」
『涙腺を焼けばいいのじゃないかしら?』
「成るほど、その手がありましたねぇ…と言いたいところですが」
「…ふぐっ、…ふえぇ…」
『さめざめ泣いてる子にはやりにくいですわね』
「最近情緒が不安定なのですよ。そんなにいじめたつもりはないのですが」
「虐めてるじゃないですかぁー!虐待!虐待!!あーん!!」
「いやですねえ、躾ですよ」
大抵の保護者は皆そう言うんですー!!
「ああ煩い五月蝿い。もう知りません君が情緒不安定な事なんて考慮しません、瀉血でもして治しましょう」
『でしたらハイ、中世ヨーロッパのキリスト医学教本★』
「うわああ!痛い痛い!そんなやるほど死に近づいていくキリスト教の悪行止めてくださいイタいったらぁー!!
「私だって…心が痛いですよ!」
「嘘付けー!思いっきり笑ってるじゃないですか!!」
「顔で笑って心で泣いているのです。ほらもっと鳴きなさい、ほらほら」
「ぎゃああー!やめ、やぁっ!うっぎゃああああああああ!!!
「嗚呼、良いですねえ…高屋敷君の涙で心が洗われますよ…」
「自分の涙で洗ってくださいぃー!」
『安西先生、成人男性の死に至る最低出血量は2リットルですけれど…』
「高屋敷君の場合、どれ位でしょうねえ?」
「止めてくださいよ綾音先生!!って言うか血を止めてください血を!!」
『高屋敷君が死んでくれたら助かるのよ。なんせフランケンの左足が腐っちゃって困ってたの』
「んー…沢津橋先生それはちょっと…」
『あらまあ、どうして?』
「あああ全く期待していなかった安西先生が止めてくれるだなんて」
「馬鹿みたいに細くてジュニアサイズしか履けないようななこの足では全く何の役にも立ちません。女顔ですし」
「止めてくれて嬉しいはずなのにどうしてムカつくんだろう!!」
『あら、高屋敷君は血と涙が比例して流れるのねえ』
「大動脈を切ったら面白そうですね〜」
血も涙もないなあんたらは!








『安西先生?』
「なんでしょう沢津橋先生?」
「…」
『さっきから高屋敷君がピクリとも動きませんわ』
「蝋の様な肌で羨ましいですねえ」
「…」
『…』
「…」
『…じゃあ、培養槽に容れて治しておきますわね』
「はい、お願いします。御手数かけてすみませんが」
『高屋敷君があれを使うのは何回目でしたかしら?』
「確か…四回目、だったと思いますよ」
『あらそんなに?』
「色々と弱い子でして…」
『大変ですわねえ…』
「ま、見込みが無ければここまでやりませんよ」
『ああ、例の計画?頑張ってくださいね、校長先生も』
「ええ…そういえば、これから学校長と計画について話し合うのでしたねえ」
『あらあら!それじゃあ急がなくちゃ』
「そうします。…高屋敷君を頼ませてもらいますね沢津橋先生、では」
『まかせてちょうだい。いってらっしゃい安西先生』






ガララ…ピシャン!

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