「…?なんか苦くないですか?この唐揚げ」
「そうですか?私には判りませんねぇ」
「うーん?なんかどっかで味わったことのある苦さ…結構前に…」
「いつでしょうかねぇ」
「確か、安西先生と会ってしばらくしてから…どっかのお店で」
「覚えがありませんね」
「あと飲物にも。…フルーツ牛乳だっけ」
「そうでしたか?」
「あれ?フルーツ牛乳…って事は温泉に行ったときだ。……温泉…!?!うわぁ!わああああああー!!!
「なんです、騒々しいですねえ」
「うわああ!ああああ!?思い出した!思い出したあぁ!!睡眠薬だこの苦さーーー!!!
「おやおや、意外に早く気付かれてしまいましたねぇ…ご名答です、バルビツル酸系の熟眠型睡眠薬ですよ」
「この薬事法違反教師ふざけんなっ…あ、ああ…?」
「おっと…大丈夫ですか?」
「や…足が…腕が、痺れて、重い…」
「んー、少し飲ませ過ぎたようですねえ…大丈夫ですよ、飲み過ぎると眠るのではなく麻痺してしまうのですが…死にはしませんから、ね」
「ふざけ…なんでっこんな……」
「試験前は一夜漬で夜更かしせずに早めに寝るのに限りますよ。そうは思いませんか高屋敷君?…高屋敷君?」
「…すー…すー…」
「ふふっ、おやすみなさい高屋敷君……良い夢を」







朝です


なぜだか、全身が鈍い痛みに包まれています


睡眠薬で眠らされている間になにがあったのでしょう


「あ、やっと起きたんですか高屋敷君?一時間以上殴打しても起きないからもう諦めていたのですよ?」
「どうしてそんな起こし方をするんですか!たぶん途中で気絶したんだと思うよ?!」
「まあまあ、早くしないと大事なテストに遅れてしまいますよ?朝御飯ならもう出来ていますから」
「うう…どっちにしろ頭の中もガンガンするんですけど…睡眠薬のせいで…あれホントはハルシオンだったんじゃないですか?」
「脳には糖分が必要ですからね、トーストにはジャムを塗った方が良いですよ」
「聞いてよ…」



(ガチャ、バタム!)

「それじゃあわざわざ車で送ってくれてありがとう御座いました…なんかまだフラフラするけど一応間に合いましたし良かったです…」
「いえいえ、高屋敷君のテストの為ですからね」
「ところでなぜかパンにブルーベリージャムを塗ったあたりから記憶が無いのですけど…」
「…何故だか解かりませんけれど、君が寝入ってしまいまして」
「……睡眠薬、一体どれ位飲ませたんですか?…」
「…さ、遅れますよ高屋敷君。私なんてもうとっくに職員会議に遅れているのですから」
「あ、待ってくださいよー…」



「…(あー…やっと頭はっきりしてきた…)」
『おい高屋敷、テスト回せよ』
「あー、ごめん……あれ?このテスト…って……?!?







ガララバシャーン!!



「?高屋敷君。何ですそんなに乱暴に扉を開けて」
「ああああああ安西先生…アンタ…アンタなんてことをしてくれたんだ…」
「は?」
テスト範囲が違うじゃん!全然違うとこ勉強してたじゃん?!」
「おや、今頃気付いたんですか?てっきり知ってて勉強していたのかと」
「この野郎あの虐待に耐えた僕はどうなるんだよー!」
「ははは。骨折り損のくたびれもうけ、でしたねえ〜」
うわああん留年するー!!

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