「あ、安西先生。おはよー御座います」
「お早う御座います、高屋敷君。ちゃんと始業日覚えていたのですねえ」
「当たり前ですよー」
「君は一時間前の事は忘れるでしょう?」
「博士の愛した数式じゃないんですから…僕数学出来ないんだからただの馬鹿になっちゃいます」
「ああ、三歩歩くと忘れるのでしたね」
「鳥頭かよ!!……はーあ…なんか帰りたくなっちゃったー…」
「おや、それはまたどうしてです?」
「だってガッコ始まっちゃったし…また毎日先生と顔合わせて生命と貞操の危機に晒されるのかと思うと…」
「ふふっ、そんな事を言って☆冬期休暇でも毎日学校に来ていたじゃあありませんか」
「先生が進路指導室の大掃除やらせたんじゃないですかー!!」
「だって面倒くさかったのでねえ〜」
「ホントにもう冬休み一杯かかっても終わんなかったし!って言うか戸棚の収納量より明らかに多く物入ってたし!!なんで?ねえなんで?!」
「聞きたいのですか?命と引き換えにでも?」
「やっぱいらない…」
「…ところで高屋敷君。犬と豚、どちらが好きですか?」
「い、いきなり何その選択肢!?僕はプレイなんかしませんからね!!」
「あはは、まさかそんな…好きな肉の話ですよ。これから始業式代わりに全校焼肉パーティーでしょう?」
「あ…ああそっか…って犬食うなよ!!」
「?韓国では普通ですよ」
「ここは日本です!」
「これがその犬の写真です。見て下さいな」
「見たくないなぁ…ポメラニアンじゃん!赤犬ですらない!!」
「毛を刈らないといけませんねぇ〜」
「食べない!僕食べないよー!!




【…えー…と言う訳で、これより全校焼肉パーティーの開催をする。全員張り切って食べるように】
(「「「「うおおおおおーーー!!!!」」」」)
「なにこのテンション…」
「皆さん食べ盛りですからねえ」
「うわあいきなり背後に立たないでください!!びびっちゃった」
「まあまあ、早速頂きましょう。肉も野菜も沢山用意してありますよ、高屋敷君?」



「んー?センセ、これ何の肉ですか?豚でも鳥でも牛でもないですよねー?」
「違いますよ。当てて御覧なさい?」
「まさか犬じゃ!」
「ハズレです」
「えー?」
「正解は…山羊でした☆」
「へー!これが山羊かあ!!」
「美味しいでしょう?」
「うん、でもなんか癖のある味で…」
「そうですか?」
「でも美味しいです」
「それは良かった」
「…先生、向こうに鉄板で焼かれてる生徒がいますけど…」
「肉の取り合いでもして負けたんでしょう」
「止めないんですか?」
「まあ肉ですし」
「な、生々しいなあ……あれ?なんか心なしか人数減ってませんかー?」
「いやあ皆さん若くて食欲がありますからねえ…」
「へ?じゃあなんで帰るんですか?」
「まあ、ある意味帰ってはいますけれど…いえ、還って。ですかねえ」
「……まさか」
「高屋敷君、焦げてますよ。……御友人の一部が、ねえ…」
うわああああああああああ!!!!
「あっははは」
「なに笑ってんですか!?わああ!うあああ!!共食いをしてしまった!!!
「ははは、高屋敷君、馬鹿みたいですよ」
ふざけんな!なんて大罪を犯させてくれたんだよアンタ!?!」
「嘘ですよ」
「え」
「人肉じゃありません。皆さん食料品の買出しに行って貰っているだけですよ」
「…え?」
「はは、間抜けな顔しないで下さいな」
「だ、だって最初山羊の肉とか言ってたし!てっきり【サイコ】を意識してるのかと…っ」
「まったりとしてましたか?」
「うん…まあ…でもいいや、人じゃないなら何の肉でも」
「犬の肉ですよ」
「僕犬飼ってるのに!!」
「ははは…冗談ですよ。失敗した実験動物の肉です」
なんの実験だよ!!
「まあまあ…人肉じゃないだけ良かったじゃあありませんか」
「そりゃそうですけど…」
「さ、食べましょう高屋敷君。沢山食べないと大きくなりませんよ」
「…はーい」





「…大体、人の肉なんて不味くて食べれたものじゃありませんよ」
食べた事があるんですか安西センセー!?!


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