「あけましておめでとうございますぅ〜」
「お目出度う御座います」
「えと、今年は残念ながら、諸般の事情により三十一日までに【安西先生と僕】は四百話を終えられませんでした」
「死んでも謝りません」
「謝ってよー。新年早々傍若無人だなあ…んっと、ごめんなさいです。応援してくれた人達にはホントに感謝感激でした。期待に応えられなかったですけど、次はがんばりますから、今年もよろしくお願いしますっ!」
「宜しくお願いします」
「あと今年も年賀状を書いたので、見てもらえると嬉しいですー」



「貧民の皆さんには是非見て頂きたいですね」
「…。まあ、もういいや。それよりさー安西センセお金持ちとしてなんか忘れてなーいー?」
「忘れていませんよ。はい、お年玉」
「やったぁ!!わーい福袋とか買おっと…え?!なんだこれ!?」
「みかんです。外に出して置いたので凍ってしまいましたが」
「どうして毎年現物支給をしようとするの?!もうみかんなんて親類とかから山のように送って来られて困ってるくらいなのに!」
「だから嫌がらせにあげてるんですよ。良いから受け取りなさいったらこの下級階層」
「あいぎゃっ!?カチカチに凍ったみかんを叩きつけられた!」
「高屋敷君なんてカチカチに凍ったみかんを叩きつけられて死ねば良いのです」
「ひどい言葉も叩きつけられた!泣くぞー!?」
「泣きなさい。それが私の喜びですからねえ」
「(また一年こんな人と付き合うのか…)」
「さてと、お雑煮でも食べましょうか。当然高屋敷君を具に入れてね」
「もう止めて正月早々死にたくない!!もうだいっきらい!」
「へえ、また今年もそう言って逃げるのですか?毎年毎年進歩がありませんねえ」
「む。そりゃ高校の頃はいつも逃げてたけど、大学生の僕は違うですよ!」
「ほほう?それはどのようにです?」
「安西先生を更生させて見せるですー。もっとマトモな社会人として!というより一人間として!道徳と自愛の心を教えてあげなきゃ!対象への愛情表現が食べることとか言わなくなるくらいにー!」
「余計なことしないで下さいよ…鬱陶しいですねえ」
「ダメー、もう決めたー。今年の僕の目標は安西先生を更生させること!後で書きぞめに書こっと」
「では私は…高屋敷君をどうすることを今年の目標にしましょうかねえ」
「殺すとか食べるとかはやめてよ?!」
「それは目標にせずとも簡単に達成出来るので必要ありません」
「…」
「そうですねえ、少し考えていた目標もあるのですが…それも達成ではなく質を高めるってところですかね」
「え?なんの?」
「ん?ふふ、内緒です。ところでそんなことより、福袋でも買いに行きませんか?」
「え…で、でも殺し方の質を上げるとかなんじゃ…」
「ほら、ちゃんとしたお年玉もあげますよ」
「あ、ありがと…あのでも」
「ああ、初詣にも行きませんとねえ。高屋敷君はおみくじも引きたいでしょう?」
「あ…うん、引きたい」
「去年は中吉でしたっけ?今年こそは大吉が出ると良いですねぇ」
「うん!よーし頑張って大吉出す!早く行こ安西センセ!!」
「はいはい…おや、ちゃんとコートを着なくてはいけませんよ?」
「わかってるよう、センセも早く支度するのー!」
「分かっていますとも。…ああでもですね、その前に言っておきたい事があります」
「う?」
「高屋敷君、今年も宜しくお願いします」
「あ、忘れてた…うん!今年も宜しくお願いします、安西先生!」
「ふふっ…さ、行きましょうか」
「うん!わーいおみくじだー!!」





「私の今年の目標は…去年以上に、高屋敷君を上手く丸め込むことですよ」

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