突然ウチにやってきた安西先生に

僕は意味不明にボコボコにされて

今、重体で病院に緊急入院で

理不尽過ぎる


「こんにちは高屋敷君、面会謝絶だそうですが無視して見に来ましたよ」
「…いや……帰れ、加害者…」
「酸素吸入マスクですか。少し声が籠もって聞き取りにくいですねえ」
「やめろ、ボンベのチューブ踏むな」
「点滴もありますね、ああバイタルサインチェックにも沢山コードを付けるのですねえ…尿道 にもカテーテルが入ってますし」
「…誰のせいで…」
「ふふ、そんなの私のせいに決まってるじゃありませんか。衝撃で記憶も飛んじゃいましたか ?」
「いい加減にしろ人をなんだと思ってっげほごほゴボッハアァッッ!!?」
「ああ、そんな重傷で叫ぶからですよ高屋敷君。ほらハンカチを貸してあげますから血を拭き なさいな」
「ゴボロ…ゴブ、ゴポ……」
「…もう拭いてる場合じゃなさそうですねえ…高屋敷君、酸素チューブ外しますよ?…はい、 ぺっしてー」
「…えぼっ!げく…おげべぇー…」
「よしよし、はいフキフキしましょうね」
「うえぇー…どうして僕ばっかりこんな目に?…うぐっ?!」
「あ、心搏数が…自立呼吸出来なかったんですか。酸素吸入マスク付けてあげますね」
「死ぬ!僕マジで死んじゃうー!全治何ヵ月だと思ってんの?!安西先生のバカ!加害者!! 」
「んー?すみませんが高屋敷君、マスクのせいで籠もってよく聞き取れませんでした。もう一 度言ってくれませんかねえ?」
「チューブ摘むな!酸素酸素!酸…あばばば」
「ははは、高屋敷君たら面白いです」
「いやホントマジでサディスト…なんでそんな面白いだけで人を瀕死にすんの?」
「ああ、君をボコった事については、ただちょっと好奇心が沸き上がったせいです」
「好奇心?」
「スパゲッティシンドロームって知ってますか?」
「え…延命治療とかで色んなコードとかチューブに繋がりまくりになる患者さんだよね…つま り今の僕だけど」
「それを見てみたかったんです」
「テメーぶっ殺すぞ」
「黙りなさいこの美少年」
「え!?あれ?!今の罵り文句なの!?」
「いいえ、呪いの言葉です。美しいものは不幸になると決まっていますからね、この私を除い ては」
「ある意味凄いと思うなあ、安西先生の思考回路」
「あと、もう一つ見たいものがあるんですよ」
「そりゃ探究心に満ち溢れていて偉いねー。で、なに見たいの?」
「こんな話を知っていますか。脳死の方から臓器を摘出しようとする時、意識が無いにも拘

らず心拍数が上昇する事を」
「それを僕でやるの!?いい加減にしろよ道徳ってもんを知らないの?!」
「ああ、いえいえ、まさかそんな…脳死になんかしませんよ」
「あ…そう、ならいいんだけどね…」
「意識を保ったまま摘出します」
「なななナースコール!!ナースコール!!病院に猟奇殺人者が入り込ん で(バキン!)ヒィ!?」
「おやおや大声を出してはいけませんよ?高屋敷君…ここは病院です、誰かの身体に障ったら どうします…」
「に、握り潰された…って言うか、人の心配より自分の心配したい状況なんだけど…」
「病院は良いですねえ、面白い玩具が沢山あります。さっき色々持ってきてあげたのですよ」
「いや…いや…助けて…」
「あはは、バイタルサインがまずいことになっていますよ高屋敷君?しかしまあ、それよりこ れを見て下さいな。人工心肺なんですがねえ〜…」
「そ…それが?」
「いやあ本当、便利な世の中になりました。昔は逆さ吊りにして血を心臓に長引かせ、出来る だけ永らえさせたものですけれど…今はこれがあるからそんな事せずともギリギリまで生かせ るのですものねえ」
「!?!」
「勿論輸血のパックもパクってきましたし、電動鋸やその他の甚振りに使えそうな器具を一通 り。ついでに臓器摘出の道具も揃えておきましたよ。だから安心して死んで下さいね高屋敷君 」
「いやああぁぁぁーー!!誰か!だれかたすけてえぇーー!!なんで病院にきたのに死ななく ちゃいけないの!?」
「何を言います高屋敷君。病院ほど人が死ぬ場所なんて他にありませんよ☆」

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