♪ぼーくーがーまーばーたきをー…

「………高屋敷、君…?


『あ、安西センセ?』

はい、安西センセですが一体何用ですか高屋敷君?もう深夜と呼ぶに相応しい時間ですけれどねえ

『そう怒んないで聞いてくださいよ〜』

ちっ…何です?とっとと話しなさいな

『あのですねー…僕、眠れないんです』

……他に電話を掛ける相手はいなかったのですか?

『えー?だって友達にかけたら馬鹿にされますしー』

私だって馬鹿にしますよ、この甘ったれクズ野郎。ママの布団にでも潜り込んでなさい

『わー…アメリカ人に馬鹿にされた気分…』

早く寝たらどうなんです?

『先生聞いてたの?寝れないから電話してんのー。解かる?』

『あ!ごめんなさいごめんなさい!!』

寝ずに騒ぐガキほどムカつく生き物はありませんねえ

『ごめんなさいったらあー』

…まあ…良いですよ、さっさと寝かせた方が得策みたいですし。どうせ今電話を切っても掛け直してくるでしょうしね

『えへへ、照れる』

馬鹿なんですか?

『それでーどうすればいいのー?』

そうですねえ、まずミルクを温めて一杯飲んで御覧なさい?温かい物を体内に入れるとリラックス効果が期待出来ます、固体ではなく液体の方が良いのは固形物では消化をする為に胃に血液が行って質の高い睡眠を得られなくなります、お茶などではカフェインの作用で目が冴えてしまいますのでここはほのかな甘みのある牛乳が一番ということになりまして、そして甘味は人類平等に平穏を…高屋敷君。高屋敷君?聞いてます?

『…』

…講釈がウザかったらそう言って下さいな

『(…パタパタパタ)持ってきたー。持ってきたよセンセー』

ああ、そうですか…ではとっとと飲みなさい

『んー…んく…んっく』

ゆっくり飲んで下さいねー…

『ぷっはあ!』

風呂上りの牛乳飲みは止めてくれませんか。本当に眠る気はあるのですか?

『んうー?なんかちょっと落ち着いたかもー』

そうですか、それは良かった。ではベットに入って目を閉じて…

『あ、歯ー磨かなきゃ(パタパタパタ…)』

高…!?待って下さいな高屋敷君、動き回っては落ち着いた神経がまた高ぶって

『(…パタパタパタ…ドテッ!)わぎゃ!?』

ああ…もう、絶望的ですねぇ…

『あーん転んだー!!』

そうですね、丸聞こえでしたよ

『痛くて目ー覚めちゃった!どうしてくれるの安西センセー!』

どうして私のせいになるんですか?

『もう牛乳大作戦全然ダメ!別のなんかないのー』

………

『センセー?』

…解かりました、取って置きのものがあります

『ホント!?やったー教えて教えて!!』

少し長くなります。用意をする物も多いですが…

『うん頑張る!』

良いですか?まず鶏肉を用意して下さい、次にその肉を蝋燭の炎で炙り、滴った油と黒炭を混ぜ合わせたものを

『え、まってまって鶏肉はあるけど黒炭が無いよー?』

シャー芯を擂り鉢で砕いて下さい

『なるほどー』

出来ました?

『うん』

ではそれで床に円を書いて下さい、出来る限り大きくね

『えーそんな事したら怒られちゃうー』

あとでジョイをあげます

『ホント?…はい出来た』

ではその真ん中に立ってこう唱えて下さい○○○○○○○○○○。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。○○○○○○……

『えっとー○○○○○○○○○○。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。○○○○○○……


―――――――――――――――


ふと気付くと僕はベットで倒れていました

とっても長い夢を見たと思ったら

三日間も寝ちゃってたみたい

効果ばっちりだったけど

ちょっと長過ぎだよね


ところで眠っている間に

謎の巨大怪獣が街を三日間破壊し尽くした

そんな事件があったらしくて


僕の意識も三日間なくて

久々に見た安西先生がやたらご機嫌なのは

なにか関係あるんでしょうか?

 BACK