クリスマス真っ盛りです
クリスマスイヴなので安西先生の家に遊びに来ました
別に付き合ってる訳じゃないんで誤解しないでください
合鍵持ってるけど
それじゃあ高級ケーキとかモノホン七面鳥を食べにレッツゴーです
「こんにちわ安西センセー♪メリークリスマスで…す……?
『何なのアンタ!?あたしが本命に決まってるじゃないのよ!!』
『ざっけんなよ俺に決まってんだろうがメス豚が!!ねえ安西さん俺の方が好きだよねえ?』
『はあ?クソガキが甘ったれた声出してんじゃねえぞ?金なら私の方が持ってんだよ!!ヒヒジジイに身体売って出直してこいや』
『アンタも一体何なのよ?!金金って卑しいったらないんだけど?』
『だからてめえが何なんだって話だっつーの。金の何が悪いワケ?お金よりも愛情が大切ですかー?』
『あ…あの、愛はお金で買えないから…』
『あらなーに気弱ちゃん?愛が金で買えない?戯言抜かしてんじゃねえぞ』
『で、でも、だって…安西さんはボクのコト…好きだって』
『そりゃてめーが器量で飼われてんだろうが愛玩動物野郎が。こっちは金で買おうとしてんだよ』
「おや高屋敷君、いらっしゃいな」
「…」
『…え?』
『はあ?また一人増えたの?めんどくせえなあ…』
『またガキですかー?金もねえのに生意気な』
『…邪魔だわ。また邪魔な奴が増えたわ』
「まあ座ってケーキでも食べて下さいな。高屋敷君の好きなチョコレートケーキですよ」
『………仲、いいんだね。安西さん…ボクより』
『俺より、仲いいな…』
『まあ、私は誰と仲良かろうがどうでもいいんだけど。…むかつくっちゃむかつくわ』
『あたしは凄くムカつく』
『…殺したい、な…』
「ヒィッ!?!ななななんで僕が?!僕は別にそんな…!!」
『…殺すか』
『あー、手伝ってもいいけど』
『殺すわ…』
『殺しちゃお…』
「おやおや、絶体絶命ですねえ高屋敷君。いくら君でもこの人数では逃げ切れないでしょうものねえ〜」
「ぎゃあああーー!!?ちょま、待ってください僕安西先生なんかどうでもいいですこんな変態鬼畜野郎のために死にたくないですー!!」
「あはは、高屋敷君今ので私までも敵に回しましたよ?丁度ケーキナイフがありますからこれでじわじわ皮でも剥ぎましょうか?」
「わー!わー!!ごめんなさいもう言わないですー!!助けて助けて安西先生!!」
「んー…面倒くさいですねぇ〜…」
「お願いだから!僕こんな聖夜に死にたくないから!!」
「えー…?…仕方の無い子ですねえ」
『…』
『ホントに仲いいなあ…ボクよりも…仲いいなあ……』
『…』
『折角だし私も殺っとこっかなー』
「いやあああああ!!!来ないでください手に手に凶器を持って近付いて来ないでくださいー!!」
「あー…皆さん、止めておいて貰えますか?」
『…欲しい者は力で奪え、情けは無用。…って、安西さん言ってたじゃない』
『ムカつくしさ…』
『ガキだし』
『ライバルだし』
「うわあ…人格開発セミナーみたいに人格批判されてる…」
「いやあ、この子は親戚の子でして……お守りを頼まれているんですよ。今年で十歳になるショタっ子です」
「え、なに言い出すのちょっと?無理ありすぎるじゃん」
「(しっ!良いから黙っていなさいな…殺されますよ)」
「(で、でもセンセ…)」
「(大丈夫ですよ、高屋敷君は可愛いですから私の親戚にいてもおかしくなどありませんからね)」
「(ち、違いますそこじゃありません。十歳はありえないから。高校二年生だから)」
「(今時の小学生は発育が良いですから、150センチ程度などざらに居ますよ)」
「ええーマジでー!?超ショックですー!!」
「と言う訳で皆さん、私がガキに手を出す趣味は無い事をご存知でしょう?安心して死闘を再開して下さいな☆」
「…」
『まー…安西さんがそう言うならいいけど』
『…うん』
『…』
『…』
「納得して貰えて嬉しいです。…あ、再開ついでに場所を変えて始めてはもらえませんか?さっきから煩くて」
「…え?!」
『…じゃあ、外いこっか』
『…うん』
『…』
『…お邪魔しました』
(ガチャ…バタン)
「え…?ね、ねえ安西先生…え?え?…センセ、当事者…でしょ?……え?なにしてるの?」
「高屋敷君、覚えて置くと良いですよ。こういった痴話喧嘩では当事者の男は…この場合私になりますが、意外と刺されたりしないものです。怒りの矛先が他の浮気相手に向きますのでねえ」
「わー…悪魔」
「おやおや、褒めてくれるのですか?」
「褒めてないよ…嫌味だって解ってくださいよー…」
「あ、忘れるところでしたねえ…高屋敷君にプレゼントがあるのですよ」
「え、ホント?わーい♪命がけで来た甲斐があったですよぅー!!」
「はい首輪」
「首輪かよ!?去年と同じじゃねえか!!」
「違います、チョーカーです」
「自分で首輪って言ったじゃんかー!!」
「いやあ正直言うと、君にあげるプレゼントが思い付かなかったのですよねえ…仕方が無いので去年と同じ物をあげようかと思いまして……はい、お米ですよ」
「いらないよー!!重いよー!!持って帰るのいやだよー!!」
「…気に入りませんか?」
「それ以前の問題ですー…」
「困りましたねえ……今年もプレゼントと引き換えに、君の弱みを頂こうかと思っていたのですが…」
「わーん!!サンタさんどこー!?」
「ここに居るではありませんか…【恋人はサンタクロース】ですよ☆」
「僕はセンセを恋人にした覚えは…はっ!?」
『…やっぱり…恋人だったんだ……?』
『あらやだ、なんかムカつくわね』
『あたしを差し置いて…安西さんの恋人?』
『……死んでもらうか』
「い…イヤあー!!やめてくださ誤解であげぎぎぎぐあぎあああアァぁァァ!?!!」
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僕と、僕を殺して自殺した人達の血が
安西先生の部屋を真っ赤に染めて
先生の白い腕が伸ばされ
血を掌に掬い上げて
緑色のシャンパンボトルに注ぎ込む
赤と白と緑色
なんてハッピークリスマス
ああ、サンタさん
今年のプレゼントには
靴下に入るくらいバラバラにされた
身体の代わりが欲しいです