eggrapisu


高屋敷君に磨いたラピスラズリを見せたら、二時間以上無言で眺め続けていて
さすがに心配になったので声を掛けてみました

「高屋敷君、そんなに気に入りました?」
「て言うか、うーん…不思議!」

…よく解りません
子供は突拍子も無いことを言うから困ります。そこが面白いですが

「何が不思議なんです?」
「んとねー。あのね、これ、地球にそっくりだから!」

ははあ、成る程。確かにラピスは地球に似ていると言われます
しかしそれだけで二時間も眺め続けられるとは、全く子供の集中力は目を見張らされますね
折角ですし、子供の想像力も鍛えさせてあげるとしましょう

「高屋敷君、この石は卵の形をしているでしょう?」
「うんうん」
「卵はどんな構造になっているか知っていますか」
「んとー、殻とー白身とー黄身?」
「ええ、その通りです。そして、卵の構造は地球の構造とそっくりなんですよ」
「う?」
「良いですか?まず私達が立っている固い地面。これがプレートといって、地球全体から見ると丁度卵の殻位の割合です」
「ほえー」
「その下に白身の様にあるのがマントル。一番真ん中にあるのが核といって、とっても熱い黄身なんです」
「きみー」
「ええ、そっくりでしょう?」
「うん!すごいねえ、地球と玉子っておんなじだったんだねー…」

高屋敷君はうんうん頷いて、また卵型のラピスラズリを握り眺めています
今高屋敷君にはあの石の中に殻と白身と黄身が見えているのでしょう
さっきよりも目を輝かせて石を眺める高屋敷君を微笑ましく思いながら、私は仕事を再開しました


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…あれから五時間ぶっ続けで食い入るように見詰めたままなのですが、声を掛けても瞬きすらしません
一体どうすれば良いんでしょう?

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