topa-zumusyoku



「なあにこれー?」

ポトンと手に落とされた透明な石。水晶かな?

「トパーズ」
「トパーズ?」
「ええ」
「ウソウソ、だってトパーズって黄色でしょ?」

僕がそう言うと安西先生は少しびっくりした顔で

「…本当に国語が得意ですねぇ」

って言ったから僕はちょっと照れました

「えへへ、それほどでもないですー。…でもホント、トパーズって黄玉って書くじゃんか」

でも今手に乗ってるのは全然透明。なんでセンセってば変なウソ吐いたの?

「トパーズですよ…日本では、飴色の物が有名ですがね」
「そうなの?」
「シェリー酒色や、緑、青、ピンク、水色なんてものもあります」
「へー」

宝石のことはよく分かんないけど、なんか一杯色があるんだねえ

「…透明なトパーズに放射線処理をすると、色が変わるんです」
「放射線ってなに?」
「…。原子発電所は分かります?」
「あー解ったです。なんか危ないやつだ」
「まあ…それで合ってますが、色々と有益なものでもありますよ」
「よく分かんないけど、その放射線を石にあてるの?」
「ええ、トパーズ以外にも様々な宝石にこの手法が使われています」
「色変えるのに?」

握っていたら温くなった透明なトパーズを見る
どう見ても透明なのに、変な光線あてるだけで色が付くなんて、不思議だなぁ

「透明で綺麗でしょう」
「うん」
「あげますよ」
「いいの?」
「安いのですよね、トパーズって……高屋敷君みたいに」
「はあ!?」

なんでいっつもいちいち喧嘩売ってくるのさ。お礼言ったげないから

「悪かったね庶民で!ふんだ、でもセンセみたいな変人じゃないもん」
「…高屋敷君みたいに…透き通っていて、綺麗で」
「むぅ…褒めてくれるのか意地悪言うのか、どっちかにしない?」

怒るべきか、照れるべきか。判らなくて取り敢えず睨んでいると
ずっとそっぽ向いてた安西先生が急にこっちを向いた

「透明な君は、有害な私のせいで、どんな色に変わるのでしょう?」
「…ふえ?」
「その石は君に似ていますよ。だから、あげます。持って帰りなさい」


そのままなんとなく追い出されて、家に帰る途中の道
僕はちょっと考え事をして、明日安西先生に教えてあげることを思いついた


「安西先生、僕ね、色の付いてる石の方が好きだよ」

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