人は、骨が好きか眼球が好きかに分類されると何処かで聞いたか読んだかした事があるが、余の場合は断然目玉である

あの特有のぬめりのある表面
完全な白ではなく、何処か青味がかった白目
細やかな毛細血管
伸縮を繰り返し、漆黒の闇に吸い込む様な瞳孔
ガラス質の様に透き通った瞳
襞の様に毛羽立った、輝きを持った虹彩
黒目と白目の境の、微妙な重なり

どれを取っても愛おしい
嗚呼、抉り出して噛み潰してしまいたいと何度思った事か!!

いいや、直ぐに噛み潰しては勿体無い
まずはゆっくりと手に持ち、残った片方の目玉で楽しみながら舐め上げようではないか
きっと余が今までに流した涙の味がするだろうと
存分に楽しんだ後は、口に頬張り舌でねぶる飴玉の様にしゃぶり、割れぬ程度に歯を立て、咽喉の奥へと押しやってみる
歯や舌により、独特のぬめりが失われてしまうが構いはしない
代わりに、興奮で粘度を増した唾液が眼球を覆うのだから
眼球が玉を象っていられるのも余の気分しだいである
戯れに立てた歯に力を込める
予想外の硬度と弾力に驚きつつも、一思いに噛み潰す
中からは水が溢れ出す。余の心すら潤すであろう生暖かな体液が
その快楽で流れる涙は、主を失った眼窩に流れ、痛みによって余が犯した事を悔い改めさせるだろう

惜しむべらくは、眼球が完全な球体に有らず事
瞳の部分は若干ではあるが盛り上がり、憎らしき事に視神経という醜悪なものが接続されている
この視神経さえなければと切り落としてはみても、その後に残るは悲しくもたらたらと流れ出す血の雫と、接続の証を残す痕
可哀想にと、その後を埋めるものを探してみるが、一体何が合うであろう?
ゼラチン?樹脂?それともガラス?
どれも合わない
可哀想に、目玉はまだ血を流している














まあ骨も好きだがな。

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