こんにちは、今日は良い天気だね
ねえ、覚えてるかな?きみはここに来て、今日でちょっきり一年になるんだ
俺も同じ日に死んだからね、忘れちゃったかい?
…いやだな、何で謝るんだよ
忘れた方がいいに決まってるじゃないか
生前の事を忘れなきゃ、生まれ変われないからね
君が命日を忘れて、良かった良かった
…でも、君のその様子なら、大分忘れたんじゃないか?
住んでた町の名前は?
…そっか、覚えてないか
友達の顔も覚えてない?両親は?自分の名前は?
……忘れたんだ
じゃあ…その…どうして死んだかは?
…
忘れた?
本当に!?凄いよ!!
じゃあ、もう明日にでも生まれ変われるんじゃないかな
凄いな…良かったね、お目出度う。羨ましいよ!
…あー…いや、謝らなくって良いよ
や、本当にさ
君がいなくなるのは淋しいけど、やっぱ良かったよ
生まれ変わっても、きっと君は可愛いよ
幸せになれるといいな
…俺?
俺は…まだまだ無理だなあ
せっかく何か忘れかけても…
どうしても忘れられない事があって、そのせいでみんな思い出しちまうんだよ
忘れたいのにな
生きてるうちもそうだったな…忘れたい事ほど忘れない
ああ、ちくしょう…
君の首を絞めた感触を、この手が忘れてくれないんだよ