「おはようゴザイマス恭介サン!今日もとってもイイお天気だねっ!!」
「ああ…全くだ、俺の心情風景みたいだな…」
「あはは☆どこがさ!この世の闇を目前に突きつけられた幼子の様な顔しちゃってー」
「それはお前の事だろ。親父が刑務所で母親が精神病院に入って親戚中をたらい回しにされてる周クン」
「え?そんな事、ボク全然気にしてないよ?だって結局みんな他人じゃない!」
「止めろ聞きたくない!!俺が知ってる子供って生き物は、もっと天使の様な生き物なんだ!!」
「寝言は寝てから言いなよ恭介サン☆でも今日はお天気が良いから寝るのにはもったいないよ?」
「止めてくれ、俺は天気が良いと世の中全てに責められてる気分になるんだ」
「きゃははー☆本当にネガティブ被害妄想鬱症状倦怠感ローテンション丸出しだね、恭介サンって!!でもそんな所が好きだよー」
「…そうか?」
「うんっ!!人より優位に立つって、すっごく気持ちイイ事だと思わない?」
「お前がウチに引き取られてから、俺の精神状態は前よりも益々深刻な状態にあるって、知ってるか…?俺のファンタジーの世界に侵入しないでくれ。この悪魔」
「いつまでも子供っぽいなあ恭介サン。どうせ本棚には【宝島】とか【トム・ソーヤの冒険】とか【ピーター・パン】とか入ってるんでしょ?」
「【人間失格】も入ってるさ」
「ロクな人間じゃないねっ☆」
「…純文学だ」
「じゃあ見習って心中しなよ。死は全てを解決するものだと、ボク、思ってるよ?」
「お前はあとに残された人間の気持ちを考えないのか?」
「知らないよ?なんでボクがそんなもの考えなくちゃいけないの?恭介サンだけじゃないけど、みんな時々へんな事言うよねっ!」
「悪魔め。俺に近づくな」
「あ、でも恭介サン、死ぬんだったら自殺に見えない方法で死んでね?もしくはボクに相続権をくれてからね☆」
「保険金、遺産狙いか…生きるのが嫌になるな」
「だって恭介サンったら、生きてても仕方ない様な人じゃない。折角こんな格調高いお家柄の生まれのくせにさー」
「おおお俺は死なないぞ!死んでたまるか!!俺が死んだら家を乗っ取って世間でも買い占めようってんだろう?!お前みたいなこの世の悪意の結晶化した人間をみすみす世間に放してたまるか!!」
「えー?この世の悪意がボクなら、世間に返してもイイんじゃないのー?…まいっか!いいからお外に行こう恭介サン?お散歩しなきゃ身体腐るよー?恭介サンの心みたいにさ☆」
「嫌だ止せ止めろ。俺は人の視線が恐くて堪らないんだ」
「黙りなよこの視線対人恐怖症患者☆さあレッツドン!!」



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「ホラ恭介サン!やっぱり気持ちイイじゃない?お外って☆」
「身を切る様に世間が冷たい…向こうの小娘共は俺の悪口を言ってるんだ」
「そんな事無いよー!恭介サンカッコいいんだから自信持ちなよっ!!誰も酷い事なんて言ってないよー?…いい加減仕事継ぎなよタダ飯食らいの穀潰しドラ息子☆」
「今何か聞こえたんだが…」
「幻聴幻聴!!いっつも聞こえてるじゃない☆」
「俺はそこまでは行っていない!!…まあお前のせいでもう直ぐ聞こえそうだけどな……ふふふ…」
「あ!見て見て恭介サン!!妖精さんが居るよー☆」
「嗚呼本当だ、ティンカー・ベルだ……違う、見えないぞそんなものは!!」
「じゃアレ見て見てー!!」
「うるさい!!」
「さっきの女の子たちがコッチ見てヒソヒソやってるよ☆」
「………もう死ぬ」


――――――――――――


「オイシイね恭介サン☆ボクあんみつって大好きー!!」
「甘味所に男が入っているなんて異質だ…迫害される…」
「ところでさっ!ねえ恭介サン?ボクってね、人を傷付けるのが好きで好きでたまんないんだー☆」
「…誰が育てたらこんな悪魔になるんだ。嫌だ、俺は親になんてなりたくないな」
「もう、またピーターパン症候群になっちゃってー。でもねでもね?ボクは生まれながらにして人を傷付けるんだよー☆お母さんのお腹の中に居た時、僕って双子だったって知ってる?」
「いいや」
「そうだったの!弟かお兄ちゃんか知らないけど兎に角双子だったの☆でもね、ボクが栄養全部取っちゃったから、弟だかおにいちゃんだかはー縮んで死んじゃったんだよっ☆」
「…」
「帝王切開だったし☆」
「おおお俺はどうして人間に生まれてきてしまったんだ?ミドリムシだったら分裂して繁栄出来たのに?」
「イイじゃない、しょせん男なんて女の人の胎の中に子種出すだけじゃない!!」
「止めてくれ子供が生々しい事を言わないでくれ!!俺の知っている子供は性には無縁なんだー!!」
「大人はいっつもホントの事を隠すよねっ☆でも、恭介サン?ボクもそうだけどー、あんまり往来で変な事叫ばない方がイイんじゃない?捕まるよ?」
「はっ!!」
「まあ恭介サンが臭い飯食ったら面白いかもー…あ、駄目だ、金持ちの息子だったもんね。保釈金かー…ちぇ」
「俺の価値は金だけか」
「え?他になんかある?」
「…無いなあ…」
「役立たずっ☆」
「ぐああ…心臓に何か刺さった…」
「でもね、ボク、みんなのコト好きだよー?もっちろん恭介サンもっ☆」
「嘘だ、この悪魔め!!」
「もう!本当に根暗なんだからー☆性善説でもベンキョしなよ!!」
「俺は性悪説信望者なんだよ」
「んー?でも、確かに人を傷付けるのってスッゴク最高破天荒に楽しいもんね!!性悪説もイイよねー…うー、悩むねっ☆」
「見ろ!正体を現したなこの悪魔が!!お前に善なんて存在する訳が無いこの悪魔!!」
「恭介サン二回言ったー…。ねえ信じてよー?ボク、人に優しくするのだって好きなんだよ?」
「俺は世間よりも親よりも自分よりもお前が信じられない」
「イイから聞いてよー!!だから…傷付けたのと同じ分だけ癒してあげようと思うんだー☆」
「何?」
「生まれながらに意地悪するんなら、優しくも出来るでしょ?」
「…あ、ああ…」
「って言うか、人ってみんなそんなもんでしょ?傷付け傷付き、癒し癒され未来永劫脈ゝ続く悪夢の様な天上の流れ」
「…周?」
「ボク、ちょっとズルかったよね。傷付けるだけなんてさ……ちょっと人より起伏激しいけどー同じだけ優しくしてあげれば、やっぱり+−ゼロじゃない?」
「…ああ」
「ボクってずうっと前から、生きても死んでもどうでもイイと思ってたの。それってきっと、片っぽしかやってなかったからなんだー」
「…」
「だから、ボクこれから優しくするよっ!!それでようやく、生きててイイと思うんだっ☆」
「周…お前、お前にそんな人間的な心があったなんて……俺は、お前の事を誤解してたのか?お前は…俺が信じていたいる子供なのか?……天使なのか?」
「そうだよっ☆だからホラ恭介サン!!ボクに萌えなよ☆美少年萌えーとか言いなよ!癒されるよっ変なエネルギーが出て!!ボクは絶対拒まないから☆」
「…もう帰っても良いか?」








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と言う訳でリクエストのもとい他力本願ネタ募集の消化を致しました
【ハイテンションに悟った少年とローテンションに青臭い青年の話】
というものだったのですが、どう見ても違う気がします
ハイテンションというか、ショタ
ローテンションに青臭いというか、ネガティヴに夢見がち



すみません。この程度です、私の力量は。

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