「(あーびっくりした、本気で貞操の危機かと思った…)」
「高屋敷君?流しますよ?」
「あ、ハイ…」
『……時は3000年、壊れていく地球を止められない頃。一人の男がいた
「(うわあすっごい優しい声…って何この話)」
その男はある日、神の啓示を聞き第二のノアの箱舟作り始めた。
幾度か自分が電波なのでは。と疑いもしたが、神の言葉通りに大きな船を作り、タールを塗りこめ、さまざまな種類の動物のつがい、そして愛する恋人と共に乗り込んだ…
そして七日後に唐突の洪水。
大地は見る間に水に沈み、その上に立っていた人々も沈んでいく…
神の言葉によれば、男は恋人と共に新しい人類の最初となる家族を作り、また動物たちも子を産み、世を作り直す。
そのはずだった…
しかし洪水による湿度の影響だろう、箱舟の中で疫病が蔓延し、次々と動物たちが倒れていく…
最後には、男の恋人までもが息を引き取った…
洪水から150日が経ち水かさが減る。それから111日が過ぎ完全に水が引いてから男は地に降りた
そこは、おぞましい臭いをした、水を吸って膨らみ、目の白濁した無数の屍が折り重なる悪夢のような光景…
何日もの間人と口を聞く事のできなかった彼の目には、絶望以外には何も映らなかった
…他者と言葉を交わせない。たったそれだけの事で壊れてしまう脆き人間の心…
男は、白い霧の中に薄れていく自分の心を、届くはずも無い手で必死に追いながら、ただ茫漠と目の前にある無限の死体を数え始める……
死体がひとつ…死体がふたつ…死体がみっつ…死体が「寝れるか

ああああアアアア!!!

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