ガララ 「安西先生…何してんですか?」 「見て解りませんか。焼肉ですよ」 「いやなんで学校で肉を焼くんですか?!廊下まで美味しい匂いが漂ってますよ!!」 「少し小腹が」 「もういいや…火事だけは気を付けてくださいよね!!」 「解ってますよ。高屋敷君もどうですか?」 「すっごくイヤな予感がしますけど、断わったほうが怖いのでいただきます」 「高屋敷君、野菜も食べないと駄目ですよ?」 「僕そんな訳の解らない野菜を食べるほど勇気持ってないです!」 「失礼な…ところで、カニバリズムって知ってます?」 「ちょ…食事中にする話じゃないですよ!ええっと…人を食べる事でしたっけ?」 「ええ、有名なものでは『羊達の沈黙』のハンニバル・レクター博士。ヒマラヤ遭難事件。ソーニー・ビーンの一族。佐川一政ってとこですねえ」 「でも人間の肉食べるなんて…気持ち悪いですよって言うかその話を焼肉中に持ち出す先生もどうかと思います」 「それは違いますよ高屋敷君、ヒマラヤ遭難事件では食料も救助も無い極限状態で口にした物ですから人肉食に到るまでにはそれは凄い葛藤があったようです。まあなんだかんだいって人は生きていたいものなんですよ、エゴですねぇ…」 「じゃあレクターはどうなんですか?日常で食べてましたよ?」 「んー…彼もちょっと特殊な方ですねぇ〜純粋に人間の肉を楽しんでいますものねえ」 「…具合悪くなってきた…」 「犯罪なんですけれど結構憧れてる人が多かったりしますから。カニバリストを大まかに分類すると…そうですねえ…食べる対象は対外恋人とか、じゃなくても愛情は持ってる。これが都会型、で。犯罪と考えない、みんな普通に食べる。食べる対象は誰でもいい。対象が精神的・肉体的に強い人間だったらその魂を取り込むことができる。これが文化型。大体この二種類ですねえ〜まあ自論ですが。そうそう、君はジョジョ読んだ事有ります?『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦先生が書いているものですけれどね…その作中にこんな文章が出るんですよ、まあ長いので割愛しますけれど引用すると…【なぜか?臭くって、とても食えたもんじゃあねーからだ!! まずいんだよ!いい? みんな? ネコはまずくって食えねー。 ここまでいい?一方でよ、『鮎』って魚知ってる?鮎は虫は食わねえ…………藻しか食べない草食魚なんだ。魚はフツー、腹ワタはにがくてまずいもんだが、鮎は腹ワタまでおいしく食える……。 肉食じゃあないからだ。こー考えるとだなあー、オレたちがうまいって言ってる肉は、全て草食動物の肉んなんだよ。牛・豚・鳥ィィーッ。 いい草の餌ほど、うまい肉になる。つまり結論ッ!『人間』は肉食ってるからまずいんだ。】…なかなか説得力がありますよねえ〜…ただ、牛は肉骨粉食うし、豚は雑食なんですけどね?…さっきも言いましたけれど、世の中の人肉食事件の多くは恋人・別れた相手、つまり好意を持っている人間を食す事が多いです。これには理由がありましてねえ?食べるという事は交わる事よりもよりセクシャルな事でして相手と一つになりたいという欲望が最も洗練された形なんですよ。ですから食べた方の話を聞いてみると。ああ、全員焼いたりすき焼きにしたり調理してましたよ?私が調べた限りですが。味は美味しくないが、相手に対する愛情で美味しく感じた。でもそれは愛情があるからで他人だったら不味いだけ、相手が同じならもう一度食べたい。だそうですよ?愛こそ全てってところでしょうかねえ?まあ、結論としては『人の肉は不味い』ですね… …ところで高屋敷君、美味しいですか?」 「…」 「…」 「安西先生」 「はい?」 「…先生、この肉、何の肉ですか」 「……ふふっ」 「誰の肉なんですか安西センセーーーーーーー??!!!」 |