「夏休みですねえ高屋敷君」
「夏休みだねえー安西先生」
「予定なんてありますか?」
「僕は無い。父さんと母さんは二人で新婚気分でお出かけに行くけど僕は無い」
「…嫌われてるんですか?」
「そ、そんなことないもん!」
「まあ家庭の事情に口は挟みませんけれど…何処か連れて行って欲しいですか高屋敷君?」
「うん」
「では今年は山に行きましょうか、丁度埋めたいものもありますし」
「い、違法投棄はダメー!」
「いやですねえ、違いますよ。死体遺棄です」
「もっとダメー!!やっぱ山ヤだ!きっと先生は熊と対決したりするんでしょ?!そして勝つんでしょ!?」
「しませんよそんな事…冬場以外の熊は狂暴じゃなくて詰まりません、やっぱり冬の餓えた手負い牝熊に限りますね」
やってんじゃねーか!!
「そうだ、ダイダラボッチと戦いましょうか」
「山の神に何をする気だ!…ところでさっきからなに書いてんの」
「履歴書」
「履歴書?!履歴書書いてんの!?センセもう仕事してるじゃない、校長センセに怒られるよ?」
「良いんですよ私立なのですから…」
「どこで働くの」
「一度メイド喫茶で働いてみたくて」
なに考えてんだよ!?!変態過ぎてフォローのしようがない…」
「?SMクラブの方が良かったのですか?」
「良くない!…まあ…いいや、先生が何処でバイトしようと僕関係ないし」
「はい、君の分の履歴書ですよ」
「いらねーよ!!」
「えーと趣味……高屋敷君に床に落ちた食物を食べさせること」
「えーとチャッカマンどこ置いたっけ」
「あ。…何をするのですか高屋敷君、折角書いたのに…」
「なにって燃やしたんだよ?」
「…高屋敷君、少し可愛気が減りましたね」
「別にいいもん」
「ああ…暑い。高屋敷君でも殺さないとやってられませんねぇ…」
「やってられるよ!!」
「死にたくありませんか?」
「当たり前じゃん」
「ふふ、そう言うと思って良い物を作ったのですよ。はいこれです」
「いきなり発明キャラになったね。…なにこれ?」
「アンドロイドです、高屋敷君型の」
「妙なもん作んないでよ〜…」
「ですが、君を殺すよりはこのロボ高屋敷君を虐待する方が良いでしょう?」
「いや…どっちもヤだけど……あのさあいつもいつも虐められる度に僕が内蔵吐きそうになってるって知ってる?」
「知ってはいますが知ったことではありませんね。それより機能説明なのですが…」
「…」
「持ち主に対する服従心は犬より強く設定しましたので、まあ言われるがままに四つん這いになったり」
殺す!!先生を殺して僕も死ぬ!!
「高屋敷君たら、無理心中を謀るまで私の事を…」
「あー死ぬもう死ぬ死にたい殺す!!
「そうですね、私も高屋敷君のことをとてもとても殺したいです。実はもうこのロボ高屋敷君もぶっ壊した後でして、それでも殺意が収まらないのです」
「え…」
「やはり機械は駄目ですねぇ、人間の温かみというものが感じられません。内臓の温かみとか、ね?」
うぎゃあああああぁぁぁぁーーーーーー!!!!!




―――――――――――――――




「…というような事を夏休みの最初にやってたんです」
【ふん】
「そして瀕死の高屋敷君をそこの戸棚に仕舞ったのですが…あれから十日以上経ってるんですよね」
【…どうしてそこまで放って置いたんだ】
「すっかり忘れてまして。と言う訳で氷室さん、開けてみて下さいな」
【何故私がやらねばならんのだ】
「いや〜何か開けるの恐いんですよねぇ、絶対腐ってますもの」
【良いんじゃないのか?開けなくて】
「ですが、放って置けば放って置くだけ後の掃除が面倒に…」
【棚ごと捨てれば良い】
「ああ、それもそうですね。ご両親も旅行中ですし、行方不明にしてしまいましょう」
【粗大ゴミは何曜に回収だ?】
「ええ、と…水曜でしたか…市役所に粗大ゴミ用のシールを貰って来なくちゃいけませんねえ」
【後三日か】
「後三日…それまでに臭い出すと思います?」
【夏だからな】
「ですよねえ…」
【…今も少し臭わないか?】
「そうですか?私はずっとここに居るのでもう…」
【そうか、困ったな】
「…あ、山に埋めてくれば良いですね。それなら今日にでも処分出来ます」
【おい犯罪だぞ】
「いやですねえ氷室さん、いまさら罪の一つや二つ何だと言うのですか?」
【それもそうだな】
「よい…っと…ああ変な汁が垂れてしまいました…ではちょっと行ってきますね。鍵お願いします」
【うむ、気を付けてな】
「ふふふ…高屋敷君良かったですねえ、山へお出かけ出来ましたねぇ…」

 BACK