ものっそ長かった体育祭が終わって

やっと夏休みに入ったのに

初日から安西先生に呼び出されました

『今から私の家に来てメイプルクッキーを作りなさい』

って

僕をなんだと思ってるのあの人



「って素直に来て作ってるも僕だけどさーこれ職権乱用だって覚えて下さいよね!訴えようとしたら訴えられるんからね!?」
「だって急にメイプルクッキーが食べたくなったのですもの」
「大体二十六にもなって甘党とかなに考えてんのさ女装癖教師、年と性別考えろ」
「黙りなさい、この…ピンクハウス」
僕ロリ服の趣味ないよ!?って言うか罵倒の言葉としてどうなんですかそれー!!」
「出来ました?」
「まだー。アイスボックスクッキーだから一回凍らせなきゃ」
「どれ位かかるんです?」
「うーん…焼く時間も入れたら三時間かなあ」
「三時間?」
「そだよ」
「そんな…その三時間の間禁断症状とフラッシュバックに悩まされなくてはいけないのですか」
「いや、白い粉は白い粉でも砂糖と小麦粉だし」
「…三時間…」
「そ、そんな顔しないでくださいよぅ。僕が悪いことしたみたいじゃん…テレビでも見てたらすぐだから、ね?お茶でも淹れて気長にさー」
「…」
「もー扱いずらいなあセンセってばー!」
「解っていますよ、待ちます。待てば良いのでしょう?」
「そうそう!えっと、お茶…」
「ああ、冷蔵庫に冷たいのが入ってますよ」
「ホント?あ、麦茶。もう夏ですもんねー」
「ええ、学院祭をやらないまま夏休みに入ってしまいました。がっつり食い込んでしまったので秋にしようかと思っているのですよ」
「学院祭をですかー?よかった、中止になったのかと思ってた」
「で、夏休みの予定なんですが高屋敷君、メイド喫茶で夏期アルバイトを…」
する訳ねーだろ!?
「じゃあ私の実家で私専属メイドを」
「実家帰れブルジョワ!!」
「君こそ帰りなさい貧民…とは言えませんね、クッキー作りの途中で帰られては困ります」
「そうだよー!ボランティアでやってあげてるんだからちょっとはお礼の気持ちとか持ってよー!!」
「では高屋敷君、ぬいぐるみあげますよ。盗聴器入ってますけれど」
「ならいんねーよ!!狂ってんのか!?
「いやあ三日前にストーカーから送られてきて。じゃあこっちの綿の代わりに髪の毛が詰まった…」
いらねえつってんだろうがー!!
「私だって要りませんよ!」
「そんなものを人にあげようとするなよ!!自分が貰ってうれしい物をあげるのがプレゼントって認定を受けるんだよ!!」
「…あ、そういえば先日買い物に出た時、君にあげようと買ったものがあるのでした」
「え、なになにー?」
「高屋敷君、君に似合いそうな可愛いブラを買ってきましたけど着け
るわけねーだろ!!大体胸無いよ僕男だよー!!」
「大丈夫、ちゃんとAAAカップですから。トップとアンダーの差が5センチ」
「そんなのどっから見付けてきたの?!初めて聞いたよそんなサイズ!」
「なっ…高屋敷君!失礼ですよ、自分も貧乳…いえ虚乳のくせに、平らな胸の美しさを知らないとでも言うのですか?乳房は大小に関わらず実に美しい造形です、それを君は何という冒涜を」
「真剣な顔でブラ持ちながら何言ってんの?!変態っ!!」
「私はいつだって真剣ですよ」
「解ったからそれ仕舞ってよ!それ持ちながらだと野口英代だって変態に見える!」
「着けてくれるんですか?」
着けねぇっつったろうがー!!
「そんな、折角上下揃いで買ってきたのですよ?それも透けやすく清純な水色の」
「ああもう僕じゃダメだ警察屋さーん!!」
「…白ですか?白が良かったのですね?」
「黙れよもうー!!って言うかどこに買い物に行って来たんだよぅー!!」
「そりゃあランジェリーショップに」
「頼むから女装癖を治してください趣味どころかもー病気じゃんか!!」
「君が裸エプロンでクッキー作りを続行してくれるというのなら直しましょうとも」
「お断りだ!!やっぱダメだ僕もう帰る!安西センセクッキは凍ったら輪切りにして180℃オーブンで17分焼くだけだからそれじゃあバイバイさよならですー!!」
「あ…待って下さい高屋敷君!」







ザグシュ!!







「…高屋敷君?」
「…」
「ああ、君が帰るなんていうものですからつい…」
「…」
「……本当はクッキーが食べたかったのですけれども…」
「…」
「夏場ですし、生モノを先に食べなくてはいけませんよね。ねえ高屋敷君?」

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