「…」
「ちょっと!!安西先生さっきからなに僕のお腹触ってんですか?!やめてください!!」
「…高屋敷君」
「はい!?」
「おめでとう、恵まれた方。主は貴方と共に居られる」
「…はい?」
「だから、妊娠おめでとう御座います」
「あー…もういい加減にしてくださいよう…男が妊娠できるわけ無いでしょ?」
「疑うと言うのなら、この妊娠検査薬を使ってみたらどうです?」
「持ち歩くなよ!!」
「良いから良いから…さあいってらっしゃいな」
「はあ…なんでこんな無駄なこと…」



「…」
「どうでした?」
「………陽性でした」
「ほら見なさい」
いやありえないでしょ?!おっかしいだろこれ!!なんでバッチリ赤色なんだよ!?
「マリアだって処女で受胎したんですから。さしずめ平成の受胎告知ですね☆」
「あんたはガブリエルか!!」
「そんなイライラしなくても良いでしょうに…あ、高屋敷君もしかして…マタニティーブルーですか?」
「違うよ!だからさっきから誰の子を孕むって言うんだよ馬鹿教師!!」
「ほおー…この私に向かって馬鹿とは…覚悟は出来ているのでしょうねぇ〜?」
「え…?!や、ちょ…身重の身なんで手荒な事は…」


「認知しませんよ」
頼んでないよ!!


―――――――――――――――


「おやおや、随分とお腹が目立つようになりましたねえー」
「や、おかしいですよね、明らかに?なんで一日でもう臨月なの?」
「そりゃあ話の都合ですよ。十月十日もかけていられませんのでねえ」
「って言うかこれ何処に入ってるんですかー?」
「さあ…それにしてもカエルみたいな腹ですね」
「女性団体に訴えられますよ…」
「体内に他の生き物が入っているなんて、寄生虫みたいですねえ」
だから訴えられますってば!!
「さて、それじゃあ産気づいてもらいましょうか…(ドゴン!!)」
うぐあ!?!な…妊夫の腹にになんてことを……う、おぐうええええ!

(ズルリ…ボト)


『…オギャー』


「元気な男の子ですよ☆」
胃から!?
「母子ともに健康で良かったですねえ」
「あああ…なんか僕この子を愛せる自信とか全く無いですよ〜…父親も解んないしすっごい不気味な生まれか方したし吐瀉物まみれだし」
「あ、父親なら高屋敷君のお父様になりますよ」
「え?」
「その子は言ってみれば君のクローンでしてねえ〜。まあ、色々遺伝子は弄ったのですけれどね」
「やっぱり安西先生の差し金か!僕で人体実験すんのやめてくださいよお!!
「ある意味では私が父親ですね」
「いやだ!!」
「それにしても、可愛いですねえ〜…先生前から子供が欲しかったんです。人一人自分の思い通りに作れるだなんて、非常に楽しそうですよね」
「嫌な理由!」
「あっはは!!見て下さい高屋敷君、眼球ギリギリに針を近づけても全く脅えませんよ!自我が無い人間って面白いですねえ〜」
やめて!安西先生それ虐待です!!
「さあ智美君☆私流の英才教育で冷酷な殺人マシーンに育って下さいね」
「ちょ、怖い育て方しないでください!!つーかなにもう名前付けてんですか?どっからきたんですかその名前?」
「勿論、高屋敷君と私の下の名前を足して二で割った名前ですよ」
「父親気取りか!」
「さて…じゃあこの子は私が自宅に連れて帰りますのでねえ」
「つ、連れてくって…変な事しないでくださいよ!?」
「例えば?」
「え…調教とか?」
「何を馬鹿な…得ろゲーのやりすぎじゃありませんか?」
「や、やりませんよそんなもの!!」
「どうだかねえ…」
やめてくださいそんな目で見るの!!もう安西センセなんか嫌いです!うわーん!!(ガララピシャン!!)」
「…おやおや、出産一日目で離婚の危機ですか。……困っちゃいましたねえ智美君?」





『うん!!そうだねお父様★』





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