「♪ギリギリギリギリジンジン〜ギリギリギリジンジンジン〜
…あー退屈ー。センセやる事ないですねー?」
「…高屋敷君」
「う?」
「針の穴にラクダを通して下さい」
「安西先生安西先生、いつからユダヤの神を自称するようになったの?」
「まあこれは冗談ですけれど、君にちょっと無理難題を押し付けようかと」
えええ?!やだ!!
「地下にある実験家畜運動場が、ちょっと大量の体液で汚れてしまいまして…お掃除をお願いしたいのです」
「無理無理無理!!だってあそこ札幌ドーム並みの広さじゃん!?」
「ああ高屋敷君、君がこれをしてくれなければ私は明日の朝に泡となって消えてしまうのです」
「どこの人魚姫様ですか安西先生、僕そこまで夢見がちじゃないから」
「さあ頑張りなさい高屋敷君。私の為に無償の労働奉仕を喜んでやるのです、それはもう働き蟻の様に」
うわぁーん!僕ぢょうおう様にご奉仕する性癖ないですー!!」
「ドMのくせに何を言います」
「ちっ違うもん!」
「まあ、君の趣味など私にとってはどうでも良い事です。さっさと始めないと…」
「いや…だってそんな無rぐっ!?!
「ああ高屋敷君、それ以上言われては私は君に何か怖い事をしてしまいそうです。死ぬ程大変なのと死ぬのならどちらがマシなのでしょうかねえ高屋敷君?
あげげげげうぐおうぐげ!!!
「んー?何か言いたいことがあるのですか高屋敷君?」
あががうぐうげ!!
「良いでしょう、離してあげます」
「はあ…はあ…はあはあ……」
「で、何ですか?」
「…あの……やらせて、いただきます………うぅ…っ!!」
「ああ、ああ、本当に良い子ですねえ高屋敷君。先生、聞き分けの良い子は大好きです」
「………はい…ありがとうございます…」
「これが鍵です。これが一番初めで次にこれ、その次がこれでこれ、これこれこれ。この順番に入れないと開きませんからねぇ。じゃ、頑張ってきて下さいな☆」
「はい…頑張り、ます」




―――――――――――――――




(ガララ)


「ただいまあ安西センセー」
「おや…随分と早かったですねえ…?」
「うん、あのね、なんか体長十五センチくらいの人が来て、この先のお前に生まれた子供をくれるんだったら代わりに仕事をしてやるって言われたからやってもらった。後の事なんて知ったこっちゃ無いから。どうせ明日をも知れない軽い命だから」
「刹那主義になってしまいましたね、高屋敷君…まあ面白いから良いですけれど」
「それはそうとー…安西センセ、今夜もカッコイイですね」
「…は」
「先生の高笑いは闇夜に映えますね♪」
「…」
「僕好きになっちゃいそーです♪」
「…何を壊したのです?高屋敷君」
「こっ…壊してないよ?!なんにも壊してないよ!!
「嘘をおっしゃい。やれやれ…何を壊したのです、言って御覧なさい」
「……こ、壊してない…」
「怒りますよ?」
「ぁ…あの…なんか、右っ側にあった変なタンク…」
「……………あれを?」
「え…?」
「なっ……あれを?壊した?あれを壊したのですか?」
「あ…ああああ…ご、ごめんなさい、ごめんなさい…」
「……いえ…いえ、大丈夫ですよ…ちょっと色々漏れてるかも知れませんけれど大丈夫ですよ……多分」
「ごめんなさい…ホントにごめんなさい安西先生……ごめんなさい…!!」
「大丈夫、大丈夫ですからね高屋敷君!美化委員に頼んで何とかしてもらいますから、大丈夫ですよ本当に、気にしなくても大丈夫ですよ、大丈夫大丈夫!」
「ふええー…そんなに大丈夫って言われると余計怖いですー…うええぇーん!ごめんなさいー!!」
「あーあー泣かなくて良いのですよ高屋敷君、本当に何とかなりますし…ね?」
「ひぐ…っほ…ホント…?」
「ええ、ええ、本当ですとも。だから気にしなくて良いですからねえ」
「じゃあ…じゃあ先生は?安西先生は怒ってない?ぶっ壊したの怒ってない?」
「何を言うのです高屋敷君、ワザとではないのでしょう?怒ってなどいませんよ」
「ホントに?」
「ええ。…ですが、今度は気をつけて下さいね?」
「うん…ありがとセンセ…ごめんね、もうしないね」
「ところでそれとは全然別な話で高屋敷君、殺させて下さい」
「うわあああ!?!やっぱり怒ってるー!!」
「いやですねぇ、全然怒ってませんよ?ただちょっと死んでもらいたいだけです、心の底から
やだやだやめてください微笑みながら真っ黒なオーラ出さないでください!!や、やめて、目は…目は止めてくださいあぎゃああ潰れるいぎがッッ!?あぎいい!!(ブチプチグチュべチャビッシャアアアァ!!)あっ…あげグギャアアアアァァああぁあぁぁッアアアアアアーーーーーー!!!!?!


―――――――――――――――


「…大丈夫ですよ高屋敷君。盲いた者も、神を信じれば光を見る事が出来るそうですからねえ…大丈夫ですよ」
「………ちっとも大丈夫じゃ、ない」
「まあ神なんていませんものねぇ〜」
「うう゛…痛いよ…」
「ふふ…では、神に縋るより簡単な事をしたらどうです?目の前に、神より何でも出来る者が居るではありませんか」
「……ホントに、人なの?安西先生…」
「さあ?どうでも良いじゃないですか」
「…」
「どうするのです?」
「…助けてください。安西先生」
「良いでしょう。ですが、君がもう二度と同じ過ちを犯さないというならばですが…ね」
「解りました、もうしませんから…助けて」
「己の痛みで人は学び賢くなります。君が一つ聡く成った事を教育者として喜びますよ、高屋敷君」
「…はい…」
「さあ、それでは保健室に行きましょうか。君がまた明日を生きられるように」
「…先生」
「ん?」
「僕は、誰に生かされてるんですか?」
「君以外の誰か…ですよ。それが神の慈悲と思うか、周囲の人間の優しさと思うかは君次第ですけれどねえ」
「…先生」
「ん?」
「何でもいいからカッコつけてないで助けて…」
「あはは。たまには二枚目演じませんとねぇ〜」

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