「もうすっかり寒くなっちゃいましたね、安西先生…」
「そうですねぇ…北海道では、秋なんて有って無いようなものですからねぇ…」
「もう雪虫バンバン飛んでますよー。この間鼻に入って大変で」
「ところで、寒いと人肌が恋しくなりますよね☆」
「ならねーよ!!セクハラ教師めっていうか人の話聞けよ!!」
「…ふう、高屋敷君は本当に可愛くない子ですねぇ」
「望むトコですよーだ」
「そんな可愛くない高屋敷君なんかより、君の方が可愛いですよねぇ?忠仁君☆」
「は?誰…ってまた机に生き物入れてたんですかー?!
「忠仁君はオスには珍しい三毛猫なのですよ。ねぇ忠仁君?…ふふ、忠仁君は暖ったかくてふわふわで小さくて、可愛い子ですねえ〜」
「あっそーそーですかー…」
「忠仁君、おやつに煮干をあげまじょうね。はいあーんして下さいな」
「…」
「ん?何ですか高屋敷君?」
「……センセのばかぁ…」
「ほう?私の何処が馬鹿だと?」
「…………僕の方が、可愛いもん…」
「…」


(メゴキッ!!)


いっだあああぁぁ!?!ななななにするんですか?!」
「いやぁ〜久しぶりに本気で腹が立ちましたねぇ。何を可愛子ぶってるんですか高屋敷君、ぶっ殺しますよ?」
「だ、だってここは媚セリフ言うトコかなって…あああごめんなさい痛いごめんなさい腕はそっちには曲がりませんから痛いごめんなさいったらぁーー!!
「全く全く、いつまで経っても愚かしい子です」
「…前から思ってたんだけどさあ…安西先生って、ホントは僕のことすごく嫌いなんじゃない?」
「いやですねえ〜そんな事ある訳が無いでしょう?君は可愛い生徒ですよ」
「え〜ホントですか〜?うっそくさいなー…」
「嗚呼疑い深きかな高屋敷君。君の浅ましき根性は重荷となって君を湖の底へ沈めるでしょう事を」
「なに言い出すのこの人…イカれたのかな」
「本当に愚かしい子ですねえ高屋敷君…その口が命を縮めていることにいい加減気付いたらどうです?」
「あああごめんなさいごめんなさいそんなに引っ張ったらもげるもげる腕がぎゃあああああーーー!!!
「つまりこう言いたかったのです。君を養羊場に連れて行ってあげましょうと」
「うう…取れるかと思った……え?羊?…なんで?」
「フカフカだからです」
「フカフカだからかあ」
「と言う訳で早速行きましょう。支度をして下さいな」
「はーい。…あれ?センセ上なんも着なくていいの?」
「北海道民がこの程度の寒さでコートを出すとでも?忠仁君をホッカイロ代わりにするだけで十分です」
「え、先生ネコはそんなちっちゃいポケットに入りませ…あああ入った!グチャグチャの肉塊になって入っちゃったー!!


―――――――――――――――


「…ここですよ高屋敷君、知り合いが経営している所なのです。食堂もありますから帰りに食べていきましょう」
「食堂?」
「観光地の様なものですからねえ」
「そっかぁ。……あ!あれ羊?!センセあれ羊ー?!」
「ええ。柵を越えて構いませんよ、言ってありますから」
「んっしょ…!……わーかわいー!!羊モコモコして超可愛いですよぅー!!」
「そうでしょう?」
「うん可愛いー!楽しー!!」
「喜んでくれて良かったですよ。…風邪をひかない程度に、はしゃいで下さいな」
「嬉しー!楽しー!お手ー!!」
「お手はしないと思いますけれどねえ〜」


―――――――――――――――


「ふあー…モコモコ疲れしたですよ安西センセー…」
「モコモコ疲れが何なのかは解りませんが、そろそろお腹が空いたのでは?」
「うん、空いたです。ペコペコ言ってますよ」
「じゃあ、ジンギスカン食べに行きましょうか!
えええー!?!」
「美味しいのですよここのジンギスカン。秘伝のタレで…」
「ま、待ってください安西先生ジンギスカンってそれラム肉…羊の肉…あああ待って待って安西センセー!!」









「ほら高屋敷君羊ですよ、君が今しがた三十分前まで可愛がり愛でていたシープですよ高屋敷君。さあさあ戯れたらどうですか可愛いでしょう茶色くて味が付いていて!!」
うわぁーん!!動物虐待嫌いですー!!!

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