「はっぴはろいんですよー。イタズラに自分の命殺られるのとースイートハニーさん殺られるの、どっちがいいですか?トリックオアトリート?ほらほらぁー♪早くしないと両方殺っちゃいますよー?」
「こら」
「いたっ」
「駄目でしょう高屋敷君。人に迷惑を掛けては…いつからそんな悪い子になったのです」
「だってえ〜…」
「…ああ、ご迷惑を掛けてすみませんでした、後でよく叱っておきますので……ほら高屋敷君も」
「ごめんなさーい。これでいい?殺されないうちにさっさとホテル行けば?」
「高屋敷君たら…」
「僕悪くないですもん。路上でふしだらな行為に及んでるさっきのバカップルが悪いんだもん」
「高屋敷君、いい加減にしなさい」
「知らなーい」
「我儘言う子には、お菓子をあげませんよ?」
「………ごめんなさい」
「よしよし…反省だけなら猿でも出来ますからねぇ」
「つまんないつまんない!!折角のハローウィンなのにさ!イタズラしたいのにさ!それもこれも政治が悪い!!」
「未成年な子供のうちは、ビールジョッキに蛙を入れたりビール樽に猫を入れたりで我慢しなさいな」
「むー…じゃあ大人はなにするんですかぁ〜?」
「そりゃあ大人ともなるとスケールも大きく。放火とか、殺人とか」
「いつものことじゃん」
「…そう言われてみればそうですねえ」
「ねえなんかすっごい事しましょうよお!!僕頑張って考えるから!ね?ね?いいでしょ安西センセぇ〜♪」
「ふふ…仕様の無い子ですねぇ〜。…良いですよ、考えて御覧なさい」
「やったぁ!!んっとね、えとー…」
「ゆっくり考えて良いですよ。日が沈むには、まだ時間があるようですから」
「うーんと…」
「日が沈んだら帰りましょうね。近頃は物騒です…」
「うん!それまでに頑張って考えるですよぅ♪」
「ええ、楽しみにしていますよ」


「んーと、えーと…」
「まだ思い付かないのですか?」
「だってだって!今までに無いくらいすっごいイタズラなんですよ?簡単に思い付くようなのじゃないんですよーだ」
「はいはい…頑張って、ゆっくり考えて下さいな」
「ねね、安西センセ、夕日がオレンジ色でキレーですね!家とか木とかは真っ黒で、お化けとかスッゴク出てきそう♪」
「ふふふ、そうですねえ…」
「早く考えなきゃー…夕日沈んじゃう」
「黄昏時は、誰が誰だか判らない……誰そは彼?」
「…早く考えなきゃ…」
「高屋敷君、今君の手を握っている私は、本当に私なのでしょうか?」
「?なに言ってるのー?センセはセンセ、安西先生ですよぅ♪」
「…ふふ」
「それよりセンセ、今何時?」
「六時…少し前です」
「え?さっきもそうだったよ?」
「ええ…」
「どうして?」
「さっきから、そんなに経っていないですよ」
「…そう?」
「ええ」
「そっかー」
「だから、ゆっくり考えて下さいね、高屋敷君…」
「うん!!…でもね、なんか…思い付かないの」
「そうなのですか?」
「うん…なんにも…思い付かない…思い出せない…?」
「ゆっくり考えましょう、高屋敷君。夕日が沈むまで…ね」
「うん!!」



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