「…」
「あの…安西先生、後ろから首をわし掴みにするのやめてくれませんか?」
「いえ…いつでも絞められる様にと…」
「やめろよ!だから痛いってば後ろから絞めたって気管ふさがんないって折れる折れる頚骨がギャー!!
「そうそう、折角だから教えてあげましょうねえ…実は肝試しは口実でして、本当は折り返し地点にある『あるもの』を取ってくるのが目的だったのですよ」
「ぐすん…痛い痛い…?…『あるもの』…って、なんですか?」
「それは行けば解りますよ。まあ、誰も辿り着けなかったようですが」
「八割くらい自分のせいだよね?殺したよね?」
「いやですねぇ〜私は何もしていませんよ、全て悪霊の仕業です」
「その悪霊を作ったのは先生だよね?」
「死にたいですか?」
わー!わー!ごめんなさいなんでもないですー!!
「あ、着きましたよ高屋敷君。ここが折り返し地点になっている【拉致・監禁室】ですよ」
「どこのカルト教団?」
「まあ、新校舎に移り変わる少し前から、その目的では使っていなかったらしいですけれどねえ」
「さあ入りましょう高屋敷君、骨が少々転がっているかもしれませんが」
「ホントにもう骨とか血とかに慣れてきちゃた僕がすごくイヤですー!!」
「人間は慣れるものです、それがどんなに劣悪な環境であろうとも」


(ガシャ、ガチャン……ズ…ズズズギギギギギィィイイィ・・・・・)


「…わー……僕、映画とかでこういうの見た事ありますよ。海賊の洞窟とか、いっぱい転がってますよね」
「財宝がありませんけれどね。……高屋敷君、さっき言った『あるもの』を探して下さいな」
「だからー、『あるもの』がなにか僕分かんないんですったらあ!探せる訳無いじゃん」
「私も聞いてはいないのですよ、そんなに大きなものではない筈ですから…この辺に……えー…っと。…ああ、ありましたねえ」
「?…センセ、それ御札ですよ?取っちゃダメですよー」
「いやいや、取らなくてはいけないのです」
「え、やっ…ダメですよセンセー!!そんなの取ったらここで死んだ人のお化け出てきちゃうよ!?」
「ははは、そんなケチなものが出たところで…」
「じゃあなにが出るんですかぁ?!」
「それは……説明が面倒です、見れば解りますよね☆(ベリッ)
「剥がしたー!?」
お出でなさい闇の末裔!その苦痛と恨みで紅蓮に燃ゆる混沌を鎮める為に人の肉を、魂を!餓えが治まっても尚!!

(…ズ……ズズズ…―【…グが…】―ズズズドドドドドドドドドドドドド!!!)

未来を引き裂く破滅の牙で噛み砕き呪いの咆哮で世を微塵に消し飛ばす様に喰らうが良い!!狂え、狂え、狂いなさい!!その狂気で自らが傷付き宵闇に似た血が止まらずとも!その狂気で世界が滅びるのなら本望でしょう邪悪な化け物!?

「いや…やめてっ…先生やめて!!お願い僕…やだ…怖いよぉーーーー!!!」

恐怖も畏れも憎悪の念も!総て破壊の快楽に変換しなさい!身を裂く痛みで悶えるが良い、その愚劣で淫猥な悶えで清浄な母なる大地に爪を立て引き裂け!!グレート・マザーを犯し尽くせば良い!
汚らしい漆黒の赤から生まれた狂える少年よ!大地を犯せ、海を犯せ、空を犯せ!!天を昇って父を殺せ!身を焼く太陽を食い尽くせ!!父を恨め母を呪え!!この狂い壊れた究極の牢獄!世界に産み落とされた我が身を憐れめ境遇を嘆きなさい!!神ですら責めはしない、私が許しましょう血濡れの少年!!





(―【ガッアカァ?!?ゴッ!!?ギガッッ!!ア゛ガアアッアア゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ア゛ア゛アアア゛ア゛ア゛ァ゛ァァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーーーーーーーー!!!!!】―)









…満月を見る度思い出すが良い
私の名は安西聡美
貴様を無から救い出した男ですよ」



―――――――――――――――


「あ…ああ…あああ……!!」
「…ふふ、行きましたか…」
「あ、あ、あ、あの…あれは……なに?」
「んー?…そうですねぇ…残念ですけれど、教えてあげられません。聞けば、五感が焼け付くでしょうから…ねえ」
「……どこに、行ったの?」
「さあ?」
「…」










「…さて、逃げましょうか高屋敷君☆」
どうして安西先生はいつもいつも騒動を起こすんですかぁー!!

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