「…」
「ちょっと!なに顔つついてんですかセンセー!?」
「高屋敷君…少し太りましたか?」
「え゛……そう?」
「ええ…少し、ぷに度が上がったような…」
「うわーうわー!昨日寝る前に水羊羹食べたからだと思う?」
「まあ、運動でもしたらどうです?若いうちは代謝が高いですから、すぐにやせますよ」
「運動かあ…あ!!ねね、安西先生!そろそろ体育祭ですよねー!!今年はなにやるんですか?生死に関わる系?関わらない系?」
「!!」
「え?どうかしましたかセンセ?」
「いえ…………体育祭まで、あと何日でしたか?」
「1日」
「…」
「まさか…忘れて…」
「忘れてなんていませんよ、失敬な」
「いや、でも…めっちゃ焦ってるじゃないですか…」
「焦っていません」
「センセコーヒーこぼしてる!!」
「すみませんが拭いておいて下さい」
(カチャ、ポポポポピ…)
(…ガチャ【私だ。安西教員か?】)
「あ、学校長ですか?……実はその、体育祭の件で
(【体育祭?まだ随分先だろう】)
いえ、明日ですが
(【なにーーー?!!】)
やはり学校長も忘れてらっしゃいましたか…
(【忘れたも何も、教員全員忘れとったぞ!!】)
「(大丈夫なのかなあこの学校…)」
無理ですね。延期しましょう
(【うむ、無理だな。延期しよう】)
「(なんか自分に甘くない?)」
(【高屋敷君が何か言ったようだが?】)
「えええ?!心の声なのに!!」
まあ良いではありませんか…では、失礼致します」
(…ガチャ)
「で…高屋敷君、明日は体育祭でしたっけ?」
「ちちち違います!!違いますからノーパソ振りかぶらないで!!?」
「あー…今年は何しましょうかねえ…もう一年目で十分ネタ切れで、ねえ」
「えと、去年は球技が少なかったですよ?」
「そういえばそうですねえ…では、今年は球技主体でいきましょうか」
(コンコン、ガララ)
『失礼致します、安西先生』
「おや、会長君ではありませんか。三年生進級おめでとう御座いますよ」
「遅…」
『ありがとう御座います。最上学年という事で、気を引き締めていきます。もちろん、学校の向上については今まで通り全力で望ませて頂きます、総ては我が【私立挫賂眼学院高等学校】の為に』
「あれ?そういえば会長って今年で三年生だったんですかー?」
『うん、俺は二年で生徒会長を任されて、そのまま今年も引き継いでるからね』
「で…一体何の用事でしょうか?特別な用を頼んだ覚えはないのですが」
『はい、その事ですが。勝手ながら、来たる体育祭のアンケートを全校生徒から収集したのですが』
「(わー、先生方よりよっぽどしっかりしてる)」
「それはそれはご苦労様でした、ありがとう御座いますね」
『いいえ、生徒会として当然の事です』
「でも会長、体育祭は先生方が忘れてたから。たった今延期になっちゃったんですよ」
『うん、そうだろうと思って延期のプリントも今、書記が作ってくれてるよ』
「何から何まですみませんねぇ…」
『いいえ、生徒会として当然の事です。…アンケートでは無効票が多かったのですが…』
「無効。ですか?」
『はい、【体育祭を無くして欲しい】【命の危険がない競技にして欲しい】【死にたくない】等が』
「ね、ねえ、最初のはわかるけどどうしてあとの二つはダメなの?」
「いけませんねえ、モラルの低下ですよ」
『申し訳ありません。風紀委員の方にも伝えておきます』
「ねえ、なんでダメなの?」
「……ん、ちゃんと意見も出ているようですねえ…【選手だけが命を賭けるのはおかしい。観客にもスリルを味合わせてはどうか?】【もっと競技の難易度を上げてもらいたい】【武器の種類が少ない】」
「その三人はどうしちゃったんだよ!?平和な日本に飽き過ぎちゃったの?!」
『これがまとめたデータです。職員会議の時、参考程度にはなるかと』
「おやおや、これはまた至れり尽くせりですねえ〜…本当に、よく出来た生徒会長ですよ君は」
『お褒めの言葉、ありがとう御座います。…では、俺はこれで』
(ガララ、ピシャン)
「ね、安西センセ?先生達ってー」
「ん?」
「仕事、してるの?」
「…」